謎の木箱(10)
2人を乗せたトラックは夕焼けを背にして、無事に大泉リサイクルショップの裏手の搬入口に着き、車内の時計は、午後6時30分。閉店時間前に間に合い、手の空いた従業員2人が搬入口で待っていた。
従業員2人は、トラックの荷台のブルーシートにかけていたロープを外そうとしていると、そこへ慌てたように洋介がわって入り。荷台の降ろしやすい場所に積んでいたあの黒の木箱を降ろし、店内の保管倉庫に運ばず、まるで逃げるように木箱を抱え走って自宅に持ち帰り。すぐに戻り、何食わぬ顔で買取り品をトラックから降ろしていた。
この素早さに従業員の2人は、「なんだ?」としか思わず、早く品物を降ろし、定時に帰りたいに集中していた。ただ、洋介のこの行動は、島田主任にちゃんと言ってあった。
あの謎の木箱は、洋介個人が譲ってもらったもの、店には関係ないもの。当然、あの依頼主にも一言言ってある、これは一個人として譲ってもらったもの。
島田主任は、中身の正体がわかったら必ず教えて欲しいと頼んでいた、知る権利はあると。それに対し洋介は、確かにそうだな、わかった、と言っていた。
午後7時、あの依頼主からは何も連絡はなかった。とりあえず8日後には、あの買取り品は店頭に並ぶ。ただ、もうすでに売却の目途は立っている、洋介と島田主任の知り合いに。
店は閉店し、従業員たちは自宅へと帰って行き。明日は、いよいよ恒例のお花見。集合場所はココ、公園までは歩いて行ける距離。洋介は、公園に1番い近い所に住んでいる。
明日は水曜日、平日だからといってのんきにしていると場所がなくなってしまうかもしれない。ということで、恒例通りに洋介が先に公園に行き、場所取りをすることになっている。毎年1番乗りだが、今年はわからないかもと、みんなから毎年恒例のよう言われていた。
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