謎の木箱(7)

 トラックを走らせ、窓を少し開けると、春の匂いがする。いったいどんなお宝と巡り合えるのか楽しみな2人。

 車内では、カーラジオから懐かしい曲がかかり、音楽の趣味が同じの2人は、昔話をしていた。


 2人を乗せたトラックは、もうじき予定通りの時刻に目的地に着く。辺りの景色を見ていると、わりと田舎っぽいところを走っている。

 すると、カーナビが目的地の到着を知らせようとした時、進行方向の前方に男性が道路脇に立ち、島田主任が運転するトラックに向けて手を振り。どうやら今回の依頼主と思われるご年配の男性は、今か今かと2人を待ち、駐車場へ誘導すると。わりと広い駐車場にトラックは駐車し、2人はトラックから降り、辺りを見渡すと。よく手入れされた庭が見え、満開の桜の木が見える。

 2人は、依頼主と軽く挨拶をすませると、依頼主は急ぐように古民家をリフォームして15年経つ家に2人を案内すると。襖で仕切った畳続きの18畳の部屋の襖を外し、畳の上には、ざっと100点くらいの骨董品が等間隔にきちんと並んでいた。しかし、まだあと100点くらいの査定する骨董品があるという。


 昨日、この出張依頼の査定を受けた時、依頼主はかなり急いでいた、娘夫婦に1日でも早く現金を渡したいと。そこで、洋介は1つ提案をした。私たちが来るまでに品物を慎重に扱い、等間隔で品物を並べ、買取れない物もあるためホームページで確認して欲しいと告げていた。これでかなり時間短縮され、すぐ査定が開始された。


 まず島田主任が、番号札を品物の隣に置き、デジカメで写真を1点、1点撮り、それが終わると。写真データをタブレットPCに取り込み、査定リストを作っていく。

 その間、洋介は1点、1点査定をし、査定した品物の隣に番号と査定額を書き入れた付箋紙を畳の上に張り。その後に、島田主任が付箋紙に書いてある番号と査定額を確認し、タブレットPCに金額を入力し、済んだら付箋紙に済印を押していく。

 そこには、絵画、巻物、アンティーク品、焼き物、掛軸、屏風、ブリキのおもちゃ、いろんな種類の品物が並べられ。依頼主は、査定額が気になるのか、洋介の査定する姿を離れて見ている。

 実は、この査定している品物の多くは、依頼主が買い求めた物。15年前にリフォームをした時、今査定している品物の置き場をどうするか、家族会議が始まり、やむをえず蔵行となり。あの日から日の目を見ていない依頼主にとっては大切なお宝。しかし、依頼主は、お宝に未練はないようで、査定総額が1000万円以上になってくれと願っている。そんな依頼主とは正反対な家族は何も期待もしていないし、おそらくがらくたばかりだと。


 確かに、査定0円、査定1000円など、査定額がでている。しかし、ある絵画に高値がついた、なんと300万円の値がつき。そして、掛け軸2本にも200万円の値がつき、ちょっとした堀出し物が出た。

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