謎の木箱(5)

 翌朝、午前8時10分。大泉リサイクルショップの裏手の搬入口では、洋介と島田主任が2トントラックに乗り込み。運転する島田主任は、カーナビを確認していると。助手席に座る洋介は、少し笑みがこぼれ、昨夜は蔵のことばかり考えよく眠り、ワクワクしている、なんか子供のように。

「お弁当よーし! 天気よーし! 安全確認よーし! それじゃ、行きますか!?」

「朝からテンション高いですね!? 仕方ないか、蔵まるごと査定ですもんね。私も楽しみですけど、査定総額0円だったらどうします?」

「光ちゃん、それを言ったら夢が飛んで逃げちゃうからやめてくれる!? 夢がない奴だなー、光ちゃんは」

「店長、失礼ですが、夢だけではご飯は食べられません。申し訳ないですが」

「なんだ、その返しは!? ひさびさ聞いたなー、確かにそれは一理あるけど、この話になると長くなるからなー、早く夢の世界へ行きましょうか? 急がないと」

「その前に、1つ確認していいですか?」

「まさか、例の件か?」

「本気なんですよね? 例の件」

「だから、本気だって言ったじゃないの。それとも何か? 遺言書を書かないとダメなのか?」

「別に、そうは言ってませんけど……」

「はい! この話はおしまい。再度、言っとくけど本気だし、あんなことを頼めるのは光ちゃん、島田光一ただ1人だけ、私より長生きしてよ!? そうことで、早く行かないと日が暮れるぞ、1日で終わらす条件だからな!?」

「はい、わかりました」


 2人は、神奈川県の査定依頼主の自宅に向かった。到着時刻は、午前10時を予定としていた。

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