謎の木箱(3)

 島田主任は、査定品をジッと見て。こんな素晴らしい状態の「超金属鉄人28号、SG-01」は、初めて見た。

 しかも箱付の未使用で美品、欠品なし。文句のつけようがない代物で、査定金額は、40万円。しかし、子供がいるのか。私情を挟むわけにはいかないけど、3万上乗せするか。それにあいつならこいつを大切にしてくれるはず、こいつを探していたからな。それと、ここまで状態がいいのを探していたし、お金はいくらでも払うと言っていた。といっても、こちらも正規の値段で売らないと。島田主任は、そんなことを思い査定は終了した。


 査定から5分経ち。島田主任は、番号札1番の方を買取カウンターへ呼び、番号札1番を回収し、査定額を提示した。

 男性は、査定額にちょっと驚いた様子を見せ、査定額に納得し、運転免許証を提示し、指定用紙に記入をし。島田主任は、記入内容の確認が終わると、運転免許証を返し、買取金額の43万円を用意し。現金43万円を受け取った男性は、先ほどの件よろしくお願いしますと言い、礼を言いって、店を出た。

 すると、どこからともなく洋介が現れ、島田主任の背後に立ち。

「43万か、いいんじゃないの!?」

 あの男性を見送るかのように、後姿を見ていた島田主任は驚き、後ろを振り向き。

「店長、脅かさないでくださいよー、またですか!? 突然現れるのは勘弁してくださいよー……」

「悪かったな、突然現れて……それじゃ、なんだ!? 私は魔法使いか? それとも能力者か? たまたまなんだから、仕方ないだろう?」

「はい、はい、そうですね」

「なんだ、その返事は……? ところで、それ、例の鉄人マニアの大田さんに売るのか?」

「そうですけど、ご心配なく。差額の3万は、30分後に回収しますので、私の給料から3万引かないでくださいよ」

「そんなことするわけないだろう……!? その回収、楽しみだな」


 それから、30分経ち。島田主任の親友の大田祐介が店内に現れ。その連れと思われる連中が3人、店内に入り、品物を物色し、わずか5分でレジカウンターに行き、

「光ちゃん、ありがとな、俺を優先してくれて。ほんと光ちゃんって欲がないよな。だいぶ店長に染まったな。持ちつ持たれつ、だっけ? してもらったら返す、プラマイゼロ。光ちゃんってマイナスじゃないのか? 本当にいいのか? あの金額で、これで借りは返したからな」

 太田は、超金属鉄人28号を手にし、大満足し、まるで子供のように喜んでいた。太田を含めて3人のお会計は、合計で130万円。現金で払い、売上に貢献し、店を出た。


 これで3万円の差額はチャラ以上になり、本日の売上金額は、250万となった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る