第26話 街の異変
街の入口に着いたアルは、ある大きな異変に気づいていた。
「この街、こんな名前だったっけ…?それに、こんなデカイ看板あったか?」
街の入口の前に豪華に飾り付けられた看板が大きく掲げられていた。
ザックも驚きを隠せない表情をしていた。
「い、いえ…、この街の名前は“サンクタウン”だったはず…?いったい、なにが…?」
ヴァンは看板の近くに飛んでいき、嬉しそうに看板をペタペタ触った。
『いやぁ~♪スゴいじゃん♪飾り付けだけじゃなくて、―“シャイニングアルフレッドタウン”―なんてネーミングセンス良いじゃん♪おおッ!こっちの看板には“偉大なる光魔法使いが治める街へようこそ”って書いてあるよ♪』
テスラは腕を組ながら納得したように頷いていた。
≪真の光魔法使いは、世界に一人だけのはず☆…ということは、主様はこの街の領主だったのですね☆だから、私達の格好を必要以上に気にしていたのですか☆領主であれば、従者が謎の格好をいれば領民の不信を買いますからね☆うんうん☆≫
ムトゥはなぜか誇らしそうな表情でアルの背中を叩く。
≪なんだよ。金にガメついから、てっきり平民かと思ってたぜ。その年で領主を任されるたぁ、やるじゃねぇかッ!でも、これくらいで満足するじゃねぇぞッ!ちっちゃくてもいいから国王くらいにはなんねぇとなッ!なんたって、オレ達の主様なんだからなッ!≫
サリバンは鼻血を押さえながら呟く。
≪庶民キャラと貴族キャラ…。そのギャップが萌えるザマス…。≫
三者三様のリアクションにアルが目眩をしていると、入口の奥から野太い声が聞こえてきた。
「アル様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!お待ちしておりましたぞぉぉぉぉぉぉッ!」
ガタイの良いイケオジが物凄いスピードで走ってやってきた。
「げッ!ザックの親父さんじゃねぇかッ!なんでここにいんだよッ!ウッドポッシュ王国で通商大臣しているはずだろ!?」
ザックは頭を押さえながら首を横に振る。
「はぁ~。どうやら、あの人が新しい街の名前と関連しているのでしょうね。」
ヴァンは看板の上で足を組んで座りながら楽しそうにガタイの良いイケオジの方を眺める。
≪ザックパパはこの前、“アル様の国をつくるぞ”って言ってたからね♪前々から準備していたのかもしれないね♪それにしても、ようやくあの愚王と決別したみたいだね♪≫
アルは涙目でザックに詰め寄る。
「ザックッ!ちゃんと親父さんの手綱を持っておけよッ!」
ザックは遠いものを見るような視線をアルに向ける。
「…ハハ…。もうああなったら止められませんよ。やると言ったらやるヒトですから。」
アルは、ザックを現実世界に戻そうと体を揺らす。
「ザックッ!帰ってこいッ!そっちにいくんじゃないッ!今ならまだ帰れるぞッ!帰ってこいッ!帰ってこいよぉぉぉッ!」
ザックを揺らしていると、ザックパパを追い越して迫ってくる集団が現れた。
集団の先頭には、遠くからでも視認できるような涙を撒き散らしながら激走してくる東国の服を着た長い黒髪の男の姿があった。
「アル殿ぉぉぉぉッ!探したでござるよぉぉぉぉッ!どうして、拙者もお連れいただけなかったでござるかぁぁぁぁぁ?」
黒髪の男の後ろからは、統一感のないバラバラな格好の男達が泣きながら後に続いていた。
「「「「アル様ぁぁぁッ!寂しかったですぅぅぅッ!」」」」
男達のプレッシャーに気圧されたアルは、思わず後退りをする。
「げげッ!フェリクス家の騎士団の連中まで嫌がるッ!しかも、先頭の騎士団長の漫画みてぇな涙はなんなんだよッ!」
ザックは、げっそりしながら更に遠い目になる。
「アル様が鍛え上げた通称“アルフレッド騎士団”ですね。最強の騎士団がいなくなって、フェリクス家はもちろんウッドポッシュ王国も大慌てでしょうね。」
アルは力なく膝を突いて叫んだ。
「なんで、あの変態どもがここにいんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!アイツら、強ぇけど、なんか一人ひとり変に個性的なんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!隙があると、すぐ手を握ってニヤニヤしやがるんだ……。うぉぉぉぉぉぉぉぉッ!もう目の前まで迫って来やがったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!ぎゃぁぁぁぁぁ………」
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