第19話 王さまスライム

転移門を潜ると蒼白い間接照明に照らされた近未来的なダンジョンが広がっていた。


「ほえ~。前世でやったゲームの隠しダンジョンみたいなとこだな~。これは相当なお宝が期待できるぜッ!オオッ!あんなところに鋼鉄スライムがいる~ッ!なんというパラダイスッ!いっくぞ~ッ!みんなッ!」


アルは鋼鉄スライムを見つけると“天叢雲”を装備して一目散に向かって行った。


「ダンジョンの入口を潜った瞬間に、超稀少な鋼鉄スライムが現れるなんて…。この見たこともない外装といい…、…まさか幻のダンジョンでは!?」


急いでアルを止めようと動こうとしていたザックを隣にいたヴァンが制する。


『大丈夫♪幻のダンジョンじゃないよ♪光の聖剣の効果で、アルは幻を含めた状態異常にはかからないから大丈夫だよ♪こういう時は、落ち着いて“鑑定眼”で調べてから動いた方が良いんじゃない?ザックは、アルのことになると冷静さを失う時があるから、そういうとこ直した方が良いよ♪』


「ヴァン様には言われたくありませんッ!」



「すげぇぜッ!“天叢雲”だと鋼鉄スライムにも簡単にダメージが通るぜッ!あとは逃げられないようにするだけだなッ!テスラッ!ムトゥッ!サリバンッ!鋼鉄スライムを追い込むから空間に閉じ込めてくれッ!」


テスラとムトゥとサリバンは、鋼鉄スライムを空間に閉じ込めるためだけに呼び出されていた。


≪はぁ☆早速、喚んでもらったかと思ったらコレですか☆≫


≪まぁ、良いんじゃねぇの?こういう積み重ねが信頼を得るには大事なんじゃね。≫


≪ワタクシは満足ザマスッ!鋼鉄スライムを追いかける3人のお姿…尊いザマスッ!≫


テスラとムトゥとサリバンは、淡々と追い込み漁?をこなしていく。



「よ~しッ!1・2・3・4・5・6匹ちょうどいるなッ!一人一匹ずつ倒していこうぜッ!それにしても、超稀少な鋼鉄スライムが一時間で6匹も捕まえられるとはとんでも…な…い……うん!?」



な なんと鋼鉄スライムたちが…! どんどん 合体していく! なんと、巨大な鋼鉄スライムになってしまった!



「おおぉぉッ!王さまスライムになったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!やったぜぇぇぇッ!やっぱこの世界でも合体するスライムがいるんだな!6匹単位で合体するんだな!うんうん!よしッ!みんなでやっつけようぜッ!」


アル以外は驚きのあまり言葉を失っていた。


「『≪≪≪………………。≫≫≫』」


いち早く再起動したムトゥがアルに突っ込みを入れる。


≪”王さまスライム”ってなぁんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!≫

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