第20話 王さまスライムとの戦い
みんなの戸惑いを他所に、アルは“天叢雲”を構えながら王さまスライムに向かって勢いよく走り出した。
「いくぜッ!特技―斬鉄剣―」
そして、装甲の硬い敵を斬るための特技―斬鉄剣―を使い、王さまスライムの核に袈裟斬りの一撃を放つ。
!!!カキンッ!!!
「ッ!…やっぱ、硬ぇなッ!」
アルの一撃は、王さまスライムの核を傷つけるにとどまった。
“ピャピャピャ”
核を傷つけられた王さまスライムは、巨体から想像もできないスピードで逃げ出そうとするが狭い空間に閉じ込めたため、どんどん壁際に追い込まれていく。
「フッフッフッ!テスラ達を仲間にして本当に良かったぜッ!観念しろッ!王さまス…ラ…イ…ぐはぁッ!」
逃げられないことを悟った王さまスライムは、体から触手を伸ばし強烈な高速パンチをくり出し、アルの脇腹に直撃した。
“ピャピャピャ”
王さまスライムの高速のパンチを食らい体勢の崩したアルは、バックステップで距離を取るとステータスを確認しながら回復魔法で傷を回復する。
「いってぇ~。やっぱ、早いうえに一撃が重いな。鋼鉄スライムは金属ボディで魔法に対する絶対防御があるから“斬鉄剣”で地道にダメージを与えていくしか無いんだよな~。」
アルは再び王さまスライムに向かって勢いよく走り出した。
「もう一度いくぜッ!特技―斬鉄剣―」
そして、再び、特技―斬鉄剣―を使い、王さまスライムの核に袈裟斬りの一撃を放つ。
“ピャピャピャ”
王さまスライムは、アルの攻撃に合わせてカウンターのパンチを放っていた。
攻撃速度の早い王さまスライムのパンチが先にアルにヒットした瞬間、アルの姿が飛散した。
…ミラージュ・アバター(光魔法)…
“ピャピャピャ???”
混乱している隙を見逃さずに、アルは王さまスライムの背後に近づく。
「食らいやがれッ!特技―斬鉄剣―」
間合いに入ったアルは、特技―斬鉄剣―を使い、王さまスライムの核に“渾身”の袈裟斬りの一撃を放つ。
!!!カキンッ!!!
「ッ!まだまだッ!特技―ウイングブレード&斬鉄剣―ッ!うぉぉぉぉぉぉッ!」
!!!カキンッ!!!カキンッ!!!カキンッ!!!カキンッ!!!…
アルは、光の翼を使いながら核にどんどん傷をつけていく。
“ピャピャピャ!!!”
核を傷つけられて怒った王さまスライムは、体から無数の触手を伸ばし始めると、触手を鞭のように使いながら、無差別に攻撃を始めた。
シュタッ!!!
アルは光の翼を使い、一気に上空に飛び上がった。
「アイツはもはや籠の中の鳥だ。こういう時は、無差別攻撃が止むまで落ち着いて待つのがセオリーだな。」
上空に退避したアルは魔法陣を展開し始めた。
…ディバイン・アバター(光魔法)…
…ディバイン・アバター(光魔法)…
…ディバイン・アバター(光魔法)…
…
「王さまスライムも的が無いとつまらないだろうからな。」
アルは光魔法で無数の蜃気楼の分身をつくり、王さまスライムの攻撃範囲に設置した。
“ピャピャピャ!!!!!!!”
無差別攻撃モードになった王さまスライムは、触手の数を増やして攻撃を激化させていく。
…ビタンッ!ビタンッ!ビタンッ!ビタンッ!ビタンッ!ビタンッ!…
「フッフッフッ!そうやって分身を攻撃し続けて体力を消耗するいいッ!」
アルが高みの見物をしていると、ヴァンが手を振りながらやってきた。
『スゴいね♪鋼鉄スライムが合体して王さまスライムかぁ♪永く生きてるけど、初めて見たし知ったよ♪』
「そうだろッ!鋼鉄スライム単体でも超稀少だし、まして複数体集まることはほぼないから知られていないだろうな。そもそも、スライムは分裂して増えるから、反対に合体することもできるみたいなんだよ。でも、全てのスライムが合体できるわけではなくて、合体できる特殊個体でないと合体できないっぽいんだよね。まあ、スライムの生態は謎に包まれているから俺の憶測の部分が多いけどね。」
『憶測でもスゴいよ♪……で、地上に残されたザック達への配慮はしているのかな?空を飛べないって不便だよね♪あ~あ、かわいそうにあんなに必死で逃げているよ♪』
アルが下を見ると、王さまスライムに追われているザック達の姿があった。
『あッ!サリバンが触手に捕まっちゃった♪あ~あ、誰かさんが王さまスライムを中途半端に起こらせるから♪おおッ!ムトゥが助けに行った…けど、触手に突き飛ばされたぁぁぁぁぁぁ♪おおッ!ザックは“課金銃”でサリバンを助けたぁぁぁぁぁぁ♪お~っと、サリバンは目がハートになっているぅぅぅぅ♪おおッ!その隙に、テスラが宝具―死神の鎌―を装備したぁぁぁぁぁ♪宝具―死神の鎌―は、空間ごと切断するから勝負あったかぁぁぁぁぁぁ♪』
「………。」
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