第17話 鼻血噴射
…パシンッ!…パシンッ!…
「お~い。起きてるかぁ?」
フリーズしたテスラの目の前で手を鳴らしながら声をかけていると、しばらくして再起動したテスラは再び跪いた。
≪信頼はこれから勝ち取っていきますので、とりあえずこちらをお持ちください☆これを使えば、いつでもこの空間にアクセスすることができます☆この空間は、物置きにお使いいただいても構いませんし、休憩所としてお使いいただいても構いません☆もちろん、我々をお呼びいただければ、いつでも参上します☆≫
テスラはそう言うと、宝石でできた豪華な鍵をアルに差し出した。
「おぉッ!売ったら高そうな鍵だなッ!あっ…………。」
アルは思わず差し出された鍵を手に取ると、鍵は手に吸い込まれていった。
…登録完了しました…
頭の中にメッセージが流れた。
「………………。」
テスラは、したり顔を見せてから深々と頭を下げた。
≪ありがとうございます☆これから末長くよろしくお願いします☆返品不能ですので、悪しからず☆≫
(ピエロが強制的に仲間になっちまった…。)
アルが落ち込んでいると、テスラに続いて、ムトゥがザックに鍵を投げ渡した。
≪オレは自分で考えたぜッ!新しい主様達に付いて行くってなッ!ありがとよッ!おめぇらのお陰で目が覚めたぜッ!封印が解かれて、新しい主様から自由にして良いって言われた今、オレは自分の本当にやりたいことが分かってきたぜッ!オレの手助けが必要な時は、その鍵を遠慮なくつかいやがれッ!≫
ザックが鍵をキャッチすると、キャッチした右手に吸い込まれていった。
「ありがとうございます。それで、ムトゥさんのしたいこととは何ですか?」
ムトゥはニッコリと笑ってサムズアップをしながら答える。
≪”ニート”だッ!!!≫
“ニート”宣言にいち早く反応したアルはムトゥに詰め寄る。
「あ“んッ!ニートなんて羨ましいことなんてさせねぇよッ!色んなところで呼び出してこき使ってやるッ!覚悟しろよ、ったくッ!」
アルの言葉に、ムトゥとテスラは勢いよく返事をする。
≪≪おう(はい☆)ッ!≫≫
「…………。」
そのやり取りを見て、ヴァンは笑いこけていた。
『ア~ハッハッハッハッ!テスラもムトゥもアルの性格を分かってきたみたいだね♪掟や決まりを抜きにしてもアルについてきたいってことなら僕も大歓迎さ♪』
笑いこけるヴァンの様子を眺めていたサリバンは、覚悟を決めた表情でヴァンに近づくと、おずおずと鍵を差し出した。
≪アタクシの鍵を受け取ってほしいザマス…。アタクシは影から貴殿方を見守っていきたいザマス…。≫
ヴァンは迷いなくサリバンから鍵を受け取ると、満面の笑みで微笑んだ。
『ありがとね♪アルは危なっかしいところがあるから、助けてあげてね♪あと、空間を創るときはなるべく上空の手に届かないところに出入口をつくると良いよ♪』
サリバンは鼻血を噴射して倒れた。
≪…良いザ・マ・ス…。破壊力抜群ザマス…。≫
ムトゥは呆れながら頭を押さえて呟いた。
≪おめぇもサリバンの性格を知ってきたじゃねぇか…。≫
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