第15話 イケメンパラダイス

「おおッ!みんな無事だったか?」


『アルこそ大丈夫だったかい?』


「アル様、ご無事で何よりです。」


それぞれの試練を終えた三人は、再会を喜び合っていた。


その様子を眺めていたテスラは、少し離れたところで休憩しているムトゥとサリバンに近づき、労いの言葉をかける。


≪二人ともお疲れ様☆色々と苦労かけたね☆特にサリバン…十年くらい老けたんじゃない?☆≫


体育座りをしていたサリバンは顔を伏せたままボソリと呟く。


≪真っ白に燃え尽きたザマス…。≫


ムトゥもテスラの肩を叩いて労いの言葉をかける。


≪おめぇも、だいぶ疲れてんじゃねぇか?まあ、数百年ぶりの試練だから疲れるのは当然か。…それで、どうだ?あの小僧は、俺達の主として相応しいか?≫


テスラはアルの姿を一瞥した後、嬉しそうに頷いた。


≪むしろ、こちらが相応しいか判断してもらわなくちゃいけないレベルだね☆だから、小僧なんて言っちゃいけないよ☆≫


ムトゥは驚いた表情でテスラの視線の先を追いかけた。


≪そんなにもか…。おめぇにそこまで言わせたやつは初めてなんじゃないか?前のヤツの時は“ギリギリ合格だね”って言ってたんじゃないか?≫


テスラは、目を閉じながら答える。


≪そうだね☆単純に強いだけじゃなくて、人を惹き付ける不思議な魅力があるね☆そして、この世界には無い価値観を持っている☆それに、人間不信でちょっと庶民的過ぎるところがあるけど、そこがまた好ましいよね☆ムトゥこそ、どうだった?☆ザック君だっけ?☆呼んでいないのに、試練に乱入してきた人間は初めてなんじゃない?☆≫


ムトゥは恥ずかしそうに頭を掻いた。


≪あんな小僧に従っているなんて勿体ねぇと思ったが、そうじゃねぇんだろ?どっちも規格外ってことだろうな。なぁ、サリバン。おめぇのところはどうだった…か…?…って、聞くまでもねぇな。ありゃあ、龍族並みの実力者だわな。精霊王か…。前の魔道大戦の時に力を失ったと聞いていたが、やはり、あの小僧のおかげで力を取り戻したのか。何はともあれ、主様の仲間が強いというのは良いことだな。≫


サリバンは、体育座りの体勢のままボソリと呟き始める。


≪ええ…。宝具-恐鞭“龍蛇久通”-も通じなかったザマス…。アタクシの空間もいともたやすく破壊したザマス…。でも、あの無邪気な顔を見たら許してしまう自分がいるザマス…。ああ、あの黒髪の少年も年齢不詳の優男さんも良いザマスね…。夢のイケメンパラダイス…。あの黒髪の少年が新しい主様になるかもしれないザマスか…。…良い…。…良いザマス。…アタクシが何に代えても守るザマス。そして、影から見守るザマス。…イケメン×イケメン…。破壊力抜群ザマス…。フフフ…。≫


ムトゥは呆れながら呟く。


≪やれやれ。確かに、3人とも恐ろしく顔が整っているからな。面食いのサリバンには刺激が強いかもな。≫


テスラは嬉しそうにただ微笑んでいた。

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