第14話 【ヴァンの試練】
不機嫌モードになったヴァンは、攻撃魔法を無言で打ちまくっていた。
≪ちょ、ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!話を聞いてほしいザマスッ!ストップッ!ストップッ!ストップッ!≫
逆三角のメガネをかけたスーツ姿の女が必死でヴァンを止めようとしていた。
『…………………。』
ヴァンは、女を無視して無表情・無言で魔法を打ち込んでいく。
≪き、聞いてるでザマスか?ストップッ!ストップッ!ストップッ!と言っているザマスゥゥゥッ!あッ!そこは駄目ザマスゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!≫
!!!キン!!!
魔法を打ち込んだ時の感覚の違う空間をヴァンが発見した。
『………ここだね。』
ヴァンは両手を前に出すと、巨大な魔法陣を展開し始めた。
≪もう怒ったザマスッ!テスラ様から、丁重にもてなすようにと言われたザマスけど、これは明らかに怒っても良い案件ザマスッ!そして、ついでに試練も終わらせるザマスッ!もちろん、試練の難易度はルナティックモードにするザマスよッ!アタクシの名は“サリバン”ッ!試練の番人をしているザマスッ!さぁッ!試練開始ザマスッ!≫
サリバンは、腰につけていた短鞭を右手に構えると天に向けて叫んだ。
≪―恐鞭“龍蛇久通”―ッ!お行きなさいザマスッ!≫
“シャァァァァァァァッ!!!”
短鞭が大蛇に変化すると、口を大きく開きヴァンに襲いかかる。
大きな大蛇の口が迫ると、ヴァンは大きく右目を見開いた。
『うるさいッ!特技―精霊王の魔眼―ッ!』
ヴァンの右目が黄金に輝くと、大蛇の動きが止まった。
≪う、嘘ッ!?こ、これは”精霊王の魔眼”ッ!?ど、どうして、こんなところに精霊王の魔眼を使える者がいるザマスかッ!?≫
サリバンの焦燥を気にする素振りも見せずにヴァンの魔法が完成する。
『早くアルに会わせやがれ…。死神どもがッ!…ジェノサイド・クラッシャー(精霊魔法)…』
魔法陣から破壊のオーラが溢れだし、一点に集中し始めた。
ヴァンは、破壊のオーラを凝縮した小さな球体を先ほど見つけた空間に放った。
破壊のオーラは空間を浄化するかのように眩い光を放ちながら空間を剥がしていく。
≪な、なんで出口を知っているザマスッ?し、しかも、精霊王はとうの昔に力を失っている筈!?無理矢理に空間を引き剥がすなんて、テスラ様級の実力者でないと…!?≫
サリバンの空間は、引き剥がされて静かに消えていく。
空間が完全に消えると、アルに説教されている正座姿のテスラがいた。
その姿を見たヴァンは嬉しそうにアルに駆け寄っていく。
『良かった♪良かった♪ほら、ザマスおばさんも行くよ♪』
≪ッ!!!ザマスおばさんじゃないザマスッ!サ・リ・バ・ン・ザマスッ!っていうかッ!どうして、テスラ様が正座してるザマスのッ?≫
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