第7話 コスパ

「特技―投げ銭【1000ゴルド】―」


ザックは、特技を使ってダンジョンモンスターに固定ダメージを与えた。


「おぉぉぉぉぉいッ!ザックゥゥゥゥッ!戦ってもいいけど、”投げ銭”を使うんじゃねぇよッ!金投げてダメージ与えるなんざコスパ悪すぎなんだよッ!石でも投げてろよ!あと、商人呼んで大勢で攻撃するのも無しなッ!あれはもっとコスパ悪いからッ!」


アルが注意すると、やれやれといったジェスチャーをしながらザックが苦笑いをする。


「アル様は、相変わらず貴族なのに鋭い庶民感覚をお持ちですね。私はレベリングと踏破報酬のみを目的にしているので、多少赤字が出ても困らないのですが…。フム、確かにアル様の言うことにも一理ありますね。」


そう言うと、収納ペンダントから召喚石を取り出すと従魔を召喚した。


…サモン(召喚)…

―サブスクリプション・ドラゴン―…


鱗が宝石でできた美しいドラゴンが現れた。


『ゼニィィィィッ!』


ザックが召喚したサブスクリプション・ドラゴンの口に希少金属や宝石類を投げ込むと、サブスクリプション・ドラゴンは美味しそうに噛み砕き始めた。


庶民感覚が鋭いアルは、その光景を見て思考停止してしまった。


「……………………。」


サブスクリプション・ドラゴンが希少金属や宝石類を食べ終わったことを確認したザックは、右手を前に勢い良く出した。


「行けッ!サブスクリプション・ドラゴンッ!モンスターを殲滅せよッ!」


サブスクリプション・ドラゴンは、得意気に声を張り上げる。


『ゼニィィィィィィィィッ!』


再起動したアルは、激しくツッコミむ。


「ザックゥゥゥゥッ!さらにコスパわりぃことしてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇよッ!しかも、なんだお前の従魔の『ゼニィィィィッ!』って鳴き声はッ!?あからさま過ぎるだろぉぉぉッ!」


二人は、アルが怒る姿を微笑ましく眺めていた。


「『本当にアル様と一緒にいると退屈しませんね(うんうん)。』」



アルとザックは、サブスクリプション・ドラゴンの背中に乗りダンジョン攻略を進めた。


サブスクリプション・ドラゴンの背中は思いのほか乗り心地がよく、モンスターを見つけると鳴いて知らせてくれるため、効率よくサーチ&デストロイを繰り返していく。


「やっぱ、必要なことには金をかけるのも悪くないな。サブスクリプション・ドラゴン、ごめんな。お前はお金をかけてでも、召喚するべき従魔だッ!」


アルは優しくサブスクリプション・ドラゴンの背中を叩くと、嬉しそうに鳴き声をあげる。


『ゼニィィィィッ!』


「よろしければ、しばらくお貸ししますか?サブスクリプション・ドラゴンも大喜びですよ。」


「遠慮しておきます…。」

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