第6話 冒険者登録なんてしない!
「おおッ!アル様、今日も大漁ですね。おおッ!これはレッサードラゴンの鱗ではないですかッ!これは魔法のランタンッ!これは
上級ポーションの素材の薬草ッ!これは“切れ味向上”効果が付いたナイフッ!どれも素晴らしいです。」
子供の時から懇意にしている商人のザックが、アルが新しい拠点近くのダンジョンで獲得したドロップ品や宝箱の品をみて感嘆の声をあげる。
「今日は、結構奥まで潜ったからね。しかし、ザックは本当に俺に国を出てきて良かったの?」
ザックは首を振りながら答える。
「ちょうど、住んでいる屋敷を奪われたところでしたし、アル様についていけば退屈しませんからね。そちらこそ良いのですか?冒険者ギルドを通さずに、直接商会に素材等を納品なんてしたら、冒険者資格を剥奪されますよ。」
(この前、実力を認められた証に親父さんから受け継いだ屋敷を奪われたとは、ザックも大変だったんだな。それにしても、いきなり屋敷を接収するなんて、何を考えているんだろう。まぁ、貴族に超甘いあの国王のやりそうなことだけどね。ここは、素直にあの愚王に感謝しておこう。)
「あははッ!冒険者登録なんてしていないから大丈夫ッ!買取金額はここの半額以下だし、ランクが上がると戦争に駆り出されたり変な指名依頼があったりするし、信頼できる商人がいる人間にとっては、冒険者ギルドなんて、まさに”百害あって一理無し”の害悪組織だよねッ!」
ザックは、難しい表情をして腕を組ながら頷く。
「昔はまともな組織だったんですけどね…。今では冒険者を食い物にする薄汚い犯罪組織ですからね。アル様の言う通り、近づかないのが賢明なのかもしれませんね。」
アルは頷くと、小声で話し始める。
「そういうことだねッ!…それで、例のモノは用意できた?」
ザックは、首にかけている収納ペンダントから指輪を取り出すと、指輪に魔力を流し始めた。
すると、目の前に一畳程の大きさのテントが現れた。
「いやぁ~、アル様と一緒に王家のダンジョンに潜って手に入れた“収納ペンダント”は本当に素晴らしいですね。これのお陰で、ウッドポッシュ王国一の商人になれたようなものですからね。ああッ!テントの説明ですよねッ!アル様のご要望通り、魔法のテントを調達して参りました。普段はこうやって指にはめて、使いたいときに魔力を流すとテントが現れます。さらに、込めた魔力に応じて、“拡張”と“認識阻害”と“シールド”効果が付与される機能もついています。これなら、二人でダンジョンに潜っても快適に過ごせますね。」
アルは嬉しそうにテントを観察し始める。
「おおッ!スゴいッ!これなら、少人数でも安心して夜営ができるなッ!さすが、ザックッ!よく、これ程のマジックアイテムを調達できたね。」
ザックは嬉しそうに胸を張る。
「なんたって王国一の商人ですからッ!」
「ここは王国じゃないけどね…。あと、一緒に潜るときはザックはあんまり戦わなくていいよ。ザックは強いけどコスパが悪いからね。せっかく潜っても赤字になるときあるんだよね。どうにかならないの?あの戦闘スタイル…。」
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