第17話幼馴染だから

 「夜空!どこの中学通ってたんだ?」

 「え、自己紹介で言った…」

 「ゲームは何するんだ?」

 「スマブラとかいろいろ……」

 「部活は!入るのか?」

 「まだ決めてない…」


 翌朝、学校に登校するといきなり僕の机と集まってきた。

 昨日まで那月たちのところに集まっていたのに。その那月たちは女子に囲まれている。昨日は男子たちに囲まれていたせいか女子は話せていなかったので気楽に話せている。

 問題は僕だ。なぜ今日は僕なんだ?というか那月たちはこんなやつらに嫌な顔を見せないで対応していたのか。すごいな。友達に囲まれたことはあるが、ここまで男子だけが集まってきたのは初めてだ。いい気分ではないな。

 そうこうしているうちに授業が始まった。

 進学校というのもあり初日にも関わらず授業は行われた。6限まであり、オリエンテーションもやるがプリントを渡され中学校の総復習をやらされる。しかし、先ほどの男子たちの質問責めに比べたら大したことはない。

 休み時間のたびに集まってくる。理由がわからない。合間を縫って蓮に聞くと


 「なんで優と仲良くしようとしているのか。昨日のことも含めて考えてみな」


 と言われはぐらかされる。僕自身で気づかなければならないのだろう。

そして昼休みになりまた囲まれては鬱陶しい。僕は蓮を誘い広場へと避難する。

那月たちは女子たちと仲良くお昼ご飯を食べているので良かった。

 広場へ行くと他学年の人たちも集まっている。今日みたいな天気がいい日に外で食べるのは気持ちがいい。が今日に限っては違う。


 「疲れた…。那月たち大変だったろうな」

 「そうだな。」

 「いただきます」

 「いただきます」


 蓮と雑談しながらご飯を食べる。いまはすごい気持ちが楽になった。

 先ほどまでのストレスが嘘だったかのように。

 ご飯を食べ終え、まったりしている間に蓮にたずねる。


 「なあ蓮。昨日のことって那月たちのことだよな」

 「そうだよ」

 「あいつらが那月たちに話しかけようとしたのは仲良くするためだよね」

 「まあ、そうだね」

 「それで僕に近づいてくる理由になるの?」

 「優って頭いいって思ってたけどこういうとことは鈍感だな」

 「それよく言われるんだよね。そんなことないと思うんだけどな」

 「それを無意識にやってるんだとしたらお前は本当にいいやつなんだな」

 「??」


 蓮は笑いながら僕に助言をする。疑問を解決しようとするが逆に疑問が増えてしまったが。

 昼休みが終わり教室に戻る。

 5限目が始まるとやはり食事をして腹が満たされたからであろう。みんな眠気と戦っていた。僕もその1人である。先生にばれないように後ろを向くと蓮は寝ていた。

 …堂々としすぎじゃないですか。右を見ると女子たちも眠そうであった。那月は目が細めになっている。結衣さんはちゃんと起きていて彩華さんは寝ている。…みんな寝すぎじゃないですか。

 それを見て先生もみんなを起こそうと指名してくる。


 「じゃあ、この問題を…百崎解いてみろ」

 「蓮、12pの3問目」

 「ん、はい。答えでいいんですよね。答えは…」


 そう言いながら答える蓮。


 「よし、正解だ。けど寝るならもっとうまく寝ろ」

 「それ、先生が言っていいんですか(笑)」

 「ほんとはだめだな(笑)」


 先生も冗談を言いつつ授業を再開する。


 「よく解けたね、寝てたのに」

 「優が教えてくれなかったらどこやってんのかわかんなかったわ。サンキュ」

 「どういたしまして♪」

 「次の答えはいま喋ってる夜空にやってもらうか」

 「うえぇ」


 突然指名されて情けない声がでる。


 「どんな返事だよ(笑)」

 「うるさい(笑)はい、答えは…」

 「よし、正解だ。あんまりしゃべるなよ」

 「すみません」


 周りに笑われる。

 蓮や那月たちも笑っている。今のはうしろの人が寝ていたせいですよ。優しい先生でよかったけど。


 授業が終わり今日1日の授業が終わった。


 「優!蓮くん!一緒に帰ろ!」

 「うん」

 「はいはーい」


 那月たちに誘われ一緒に帰ることになった。


 「今日のプリント大変だった…」

 「私も…」

 「大丈夫ですよ。復習ですから。大事なのはこれからの授業ですから!」


 那月と彩華さんは授業が大変だったらしく疲れている様子だった。結衣さんがフォローする。那月が勉強苦手なのは知っているが彩華さんも苦手で結衣さんは得意そうである。


 「胡桃沢さんは勉強できる?」

 「それなりには。苦手ではないですね」

 「う~結衣ちゃん裏切ったね」

 「ゆっちゃん…」

 「裏切りってはないだろ(笑)」


 勉強ができるかどうかみんなで話しているの自分のスマホがないことに気づいた。


 「あれ?」

 「どうしたの?」

 「教室にスマホ忘れたみたい。取りにもどるよ」

 「一緒に行こうか?」

 「大丈夫だよ!先帰ってて!みんなまたね!」

 「おう、気を付けてな」

 「ばいばーい」

 「また明日」


 僕は学校へと戻ろうとする。

 この時はあんなことを言われるとは思わなかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自覚のない恋に気がつきたい! しょう @sho-106

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ