第11話プリクラと帰り道
那月たちと偶然出くわした僕たち。
僕と蓮は目を丸くする。
「なんでいるの?」
「それはこっちのセリフ!」
「俺たちはゲーセンで遊んで帰るところだけど」
「私たちはクラスのみんなで来たカラオケがこの上です」
「そっか。そういえばここにもあったね」
「ここで会えるなんてすごい偶然だね!」
会えたことに驚きつつお互いにどんな風に遊んだのかを大雑把に話す。お互いに楽しめたのは間違いなかったため満足する。
話していると彩華さんが僕と蓮の方をじろじろと見てくる。
「彩華さん?何かな?」
「優くんと蓮くんが持ってるのってもしかして動物の楽園シリーズ⁉」
「ああ。優が集めてるらしくてそれが今日までだったからここに来たんだ」
「なんでそんな持ってんの?」
「いや、それに関しては長くなるんだが…」
僕たちに起こった悲劇(?)を話す。
那月は大笑い、結衣さんも我慢できず笑っている。彩華さんに関しては欲しいと言わんばかりに腕に抱えているクジラのぬいぐるみをじとっと見てくる。
「私に譲ってくれない⁉前から欲しかったんだけどUFOキャッチャーが本当に下手で…。お願い!」
「私にも頂戴!優の家に今までのぬいぐるみシリーズ全部あるよね!私にも1匹頂戴?」
「こんな可愛いぬいぐるみさんがいるんですか⁉優さん!私にもぜひ!」
女性陣3人に上目遣いされながらお願いされる。こうしてみるとこの3人は本当に美少女だと感じる。那月はショート、結衣さんはストレート、彩華さんはナチュラルボブでそれぞれの個性が際立ち、とても似合っている。
そんな美少女3人にお願いされるとこちらとして断ることはない。もともと1匹だけで良かったのだが蓮に取られたのがムカついて意地を張って3匹もってしまったのだ。
蓮と顔を見合わせうなずく。
「僕からは那月と結衣さんに」
「じゃあ俺は彩華にあげるよ」
それぞれにぬいぐるみを渡しみんなが1匹ずつクジラを持っている。
「わあぁ~!ありがとう!蓮くん!」
「ありがと優!」
「ありがとうございます!優さん!」
3人がものすごく喜んでくれたので僕は少し照れてしまう。
照れてる僕を見て笑っている男がいるのでそいつには美少女3人にばれないようにどつく。
「ねえ!せっかくならみんなでプリクラ撮ろうよ!」
彩華さんの提案にすぐ那月が賛成する。
「いいね!みんなで撮ろ!」
「いいんじゃない。せっかく5人仲良くなったし」
「そうだね」
「お近づきの印ってことで」
プリクラ専用コーナーに移動する。
こういう場所は意外と男性だけで撮るのはお断りですと言われることもあるがこのゲームセンターは男性も利用できるみたいだ。
プリクラは中学の時の友達と遊びに行ったときに1回撮ったことがある。あと那月に無理やり買い物に付き合わされた帰りに撮ったことがある。那月には無茶なポーズを要求されたり変にデコられて僕の顔がひどいありさまになったのを思い出す。
みんなで100円ずつ出し合い設定を相談しあう。
「まずはどんなポーズで撮る?」
「せっかくみんなクジラがいるんだしそれで撮るのもいいんじゃないですか?」
「それとほっぺにつんってやろ(笑)」
「お前それはやめてくれよ…」
「時間ないぞー!優、ほっぺつんってやって撮れ(笑)」
「お前ら自己紹介の時も思ったけど意地悪だよね⁉」
「ほらほらいくよ!3 2 1……」
パシャッ!!
「ほらつぎつぎ!」
「優、両手でハートして(笑)」
「待って!待って!1人は嫌だ!」
「じゃあ、結衣も一緒にやってあげてよ」
「えぇ!私もですか⁉」
「私もやる!」
「いくよ~!3 2 1……!」
パシャッ!!
こうして僕はみんなの遊び道具にされ(主に那月と蓮)、何枚もの地獄の写真が残ることになった。
最後にみんなでデコレーションをして現像する。
完成したプリクラをみてみんなで笑いあう。
「ここの優の顔面白すぎ!」
「優さんひどすぎですよ(笑)」
「みんなが無茶なポーズを言うからでしょ!」
「優、これは大切に保存しなきゃね(笑)」
「優くん面白よ!」
「慰めはしないで……」
帰りながらもプリクラを見て笑う。
しばらくして僕と那月以外の3人とは別の帰り道のためさよならとなる。
「じゃあ俺こっちだから」
「私もこっち!」
「私もこちらなので那月ちゃんと優さんとはここでお別れですね」
「うん!また明日ね!今日はありがと!」
「じゃあね、また明日、ばいばい」
僕たちは別れ那月と一緒に帰る。
「それにしても優の顔とポーズ面白すぎだって(笑)」
「勘弁してくれ。もう恥ずかしさなくなったよ」
「あはは!今日は楽しかった!」
「僕も蓮と一緒に遊んで楽しかったよ」
「今度は5人で遊ぼ!」
「うん。明日みんなに話してみよ」
僕たちは次に何して遊ぶか話しながら家へと帰っていった。
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