第10話初めての放課後④
<那月・結衣・彩葉サイド>
優たちと別れ、クラスメイトと一緒にカラオケに向かう。
中学の時は打ち上げなどで行ったことがあるくらいでそんなに行ったことがない。
だけど新しくできた友達やクラスメイトと仲良くしたいから私は行くことにした。
「那月さんは優さんと知り合いなのですか?」
「うん。小さいころからの幼馴染なんだ」
「幼馴染ってドラマとか漫画で見てて羨ましい!って思うんだけど、なっちゃんは優くんのことどう思ってるの⁉」
彩葉ちゃんに聞かれ私はすぐに応える。
「意識したことないなぁ。普段から一緒にいることが当たり前すぎて」
物心つく前から私と優はいつも一緒に遊んでいた。どこかに出かけるときも遊ぶ時も勉強するときも怒られるときも。いつもそばに優がいた。
「えぇ~。みんな高校生になったらいっぱい恋したいって思ってるんだろうなって思ってたから意外!」
「彩葉さんあまりそう言ってはだめですよ」
「大丈夫だよ、結衣ちゃん。私はまだ恋したことないけどそれは優も同じだよ。
なんなら優は恋がなんなのか分かってなさそうだしね(笑)」
優は今まで恋をしたことがない。中学生の時は部活に夢中だったからする暇がなかったように見えた。でも人の恋バナには興味があったからしたかったのかとも思える。
「那月ちゃんは好きになった人とかいないのですか?」
「いない!だってみんな子どもだったもん。すぐに下ネタとかちょっかい出してきたりしてさ。だからいなかった。高校では誰かと付き合いたい!
「私も!みんな思春期でじろじろ見てくるから気持ち悪かった!」
「私は控えめだったのであまり男性との面識がなかったのでそういうのは疎いですが昔ですけど好きになった人がいます」
「えっ!えっ!だれっ!どんな人⁉」
「教えて!ゆっちゃん!」
「みんな!受付してくるから待ってて!」
結衣ちゃんの話を聞こうとするとタイミング悪く着いてしまった。
「ではまた今度お話しましょう(笑)」
「「ええぇ~」」
聞けなかったことを彩葉ちゃんと悔やんでいると受付が終わり私たちは大部屋へと入っていった。
優と蓮くんを除く34人で来たため1人1曲という制限でカラオケが始まった。
流行りの歌から懐かしい歌をみんな歌い徐々に盛り上がっていった。
私はYOASOBIさんの歌を歌い彩華ちゃんは髭団の歌を歌い、結衣ちゃんは西野カナさんの歌を歌った。
NiZiuさんの歌を3人で歌いさらに盛り上がることができた。
そして時間が経たった。時刻は4時30分近く。
あまり遅くなってもママが心配するだろうから私はここで帰らせてもらうことにする。
「私そろそろ帰るね!みんな1回ずつ歌ったしいいかな」
「そうだね。そろそろお開きにしますか。みんな揃って指導とか嫌だし(笑)。
みんなもそれでいいかな?」
親睦会を提案した男の子がみんなに聞く。
みんなも賛成し、最後にみんなで写真を撮る。
「みんな気を付けて帰れよー」
「またねー!」
解散し私たちも帰ろうとする。
日はまだ出ているが初日に問題を起こしたくない。
エレベーターに乗り下に降りようとすると私は自分のスマホがないことに気づく。
「なっちゃんどうしたの?」
「スマホがない…」
「忘れてきたのかもしれないですね。。戻って確認しましょう。」
「ごめんね。結衣ちゃん。彩葉ちゃん」
「謝らないでよ!友達じゃん!」
「そうですよ。謝らないでください」
そう言われ嬉しくなる。高校生になって初めてできた友達。
不安だった気持ちが晴れるのが分かる。
カラオケへと戻り店員さんに聞くと忘れ物があったのですぐにお返しできてよかったと言ってもらえた。
「よかった~!ありがとう2人とも!」
「よかったね!すぐに見つかって!」
「はい!では今度こそ帰りましょうか」
再びエレベーターに乗り私たちは下に降りる。
「そういえば優くんたち用事があるって言ったけどなんだろうね?」
「入学して初日ですし、家の事情ですかね?」
「いや、私が思うに2人で遊びに行ったんだと思うよ」
「ああ!確かに!ありそう!」
「あの2人は初めてあったとは思えないほど仲よくなってましたね」
1階につきエレベーターが開く。
エレベーターから降りるとそこにいたのはまさかの人物だった。
「あれ?優じゃん!なにしてんの?」
「優さん?」
「優くんと蓮くんだ!」
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