第7話初めての放課後①

 「それじゃ、学級委員あいさつをお願いします!」

 「起立、気を付け、礼」


  「「「さよなら」」」


 こうして学級委員(仮)となった僕は号令をかけた。

 今日は入学式とホームルームだけだったため、学校も午前中で終わりまだ半日も残っている。僕はこの後のどのように過ごすか考えているとクラスメイトの男子が大きな声で


 「なあなあ、このあと親睦会ってことでみんなでカラオケにでも行かね⁉」


 と提案をしてきた。親睦会か…

 入学して初日でこんな提案するとはすごいな。けれど意外と周りの人は乗り気だったらしく’’いいね!’’ ’’行こっ!’’などと参加する気満々だ。


 「夜空と百崎はどうする?」


 返事に迷っているとクラスメイトの男子たちがきいてきた。

 参加した方がいいのだろうが僕は自分の気持ちに正直になって応えた。


 「「ごめん、僕/俺は遠慮するよ。」」


 僕と蓮はお互いの目を見合わせる。

 まったく同じタイミングで返答し、僕たちは笑いあう。

 多分、蓮との考えが一致しているのだろう。


 「まじか、予定でもあるのか?」

 「そんなかんじかな。蓮も?」

 「ああ、おそらく優とおなじかな」


 そう言って僕たちは参加を断った。

 「そっか、じゃあしょうがないな」

 「うん、また今度集まるときは参加するから。ごめんね」

 「いいや、大丈夫だよ。俺らも楽しみにしてるから。今度は事前にいうからそのときは参加してくれ!」

 「うん、ありがとう」


 誘いを断り僕と蓮は顔を合わせる。


 「もしかして俺と同じこと考えてる?(笑)」

 「うん、おそらくね(笑)」

 「さて、どうしよっか」

 「僕らも2人でカラオケに行く?」


 ぐうぅ~~~


 僕のお腹がなって、蓮はまたも笑い始める。


 「…………いまのは僕が悪いから何も言わない」

 「あははは(笑)!たしかに12時過ぎだしな。とりあえずご飯食べに行くか!」

 「お願いします……(恥)」


 腹を満たすために僕たちはスマホで調べる。

 せっかくなら歩いて街まで足を延ばした方がいいと考える。

 2人で調べていると那月が来た。


 「優!優はカラオケ行く?」

 「僕と蓮は参加しない。2人でどこか行くつもり」

 「とりあえず、お腹を減らしている優のためにご飯屋を調べています(笑)」

 「ちょっ!言わないでよ蓮。那月にからかわれる!」

 「へぇ~(ニヤニヤ)。あとで聞かせてね(笑)。あ、あなたが蓮くん。さっきはありがとね!優のあの驚きよう久しぶりに見たからさ!」

 「いえいえ、俺の方こそありがとうだよ。水瀬さんも同じようなこと考えていたみたいで良かったよ。俺も楽しめたし(笑)」


 2人は僕の親なのかというくらい僕について話している。

 その一方で僕と那月の友達である2人の女子がほったらかしにされている。

 気まずさから僕が話しかけようとすると2人の女子は笑い始めた。


 「ごめんなさい。さっきの驚いてた顔が印象的過ぎて。いっぱい笑わせてもらいました(笑)」

 「私も!あんなにきれいなフリになるなんて思わなくて(笑)」

 「大丈夫だよ。むしろあれで静かにされると驚いた僕が恥ずかしくなるから」

 「確かに(笑)。学級委員の件も那月ちゃんが最初に夜空くんにしようとしてましたから」

 「あいつ……」

 「あらためて自己紹介させていただきますね。

私は胡桃沢 結衣(くるみざわ ゆい)といいます」

 「私は神崎 彩葉(かんざき いろは)!彩葉って気軽に呼んでね!」

 「僕は夜空 優。好きなように呼んでください」


 それぞれが喋っていると主催者の男子たちが声掛けをする。どうやら開催場所が決まったようだ。


 「じゃあ私たちそろそろ行くね!優と蓮くんも楽しんで!」

 「それでは失礼します」

 「またね!ゆうくん!れんくん!」

 「うん、気を付けて楽しんでね」

 「ああ、また明日」


 こうして僕たちはそれぞれの目的地へと行くために別れ、学校をあとにした。

 

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