第2話
新生活に段々と慣れ始めてきたある日。
俺は自室で小説を書いていた。
調子で言ったらいい方なんじゃないかな。書きたいシチュエーションなんかがいっぱい出てくる。
書きたいものがあると……このように、すぐページ数が稼げる。
ははっ、この仕事いいな。
昨日からこの作品を書き進めて、ついに長編文字数を超えていた。
小説には文字数の決まりがないが、一応10万~20万文字数だと長編という風に言われている。
「失礼します。お兄ちゃん作品の方はどうですか?」
誤字や脱字がないか見直しをしているとき、黒髪ロングのかわいい少女が部屋に入ってきた。
加藤愛莉。小学5年生なのに、何千万とお金を稼ぐお嬢様だ。
この子とは色々あって、彼女は俺の専属としてここにいる。
いや、俺がここにいるって言ったらいいのかな。
「うん。今見直しをしてたとこ」
「ちょっと見させてもらっていいですか?」
「いいけど、まだ完成っていう訳じゃ……」
そういう俺にかまわず、愛莉は俺の膝の上に乗ってきた。
うおっ、これがロリの体かぁ……めちゃくちゃやわらけぇ。
太もももとかお尻とか……って、そんなこと考えるとか完全に犯罪者じゃねぇか!
「わー、すごいここまで書いたんですね!」
俺が書いた文字数に驚きを隠せない愛莉。
ほのかに香るミルクのような甘い匂い……やべ、興奮が。
「愛莉、俺の作品を見るのはいいが……ちょっと離れないか?」
「えっ?ああ、ごめんなさい。お兄ちゃんの作品を読みたくてつい……」
と、愛莉が俺の上に乗っていることに気が付いたのか、少し顔を赤らめて俺の上から降りた。
「……よしっと、それじゃあ改めて読んでくれ」
数分見直しをした後、訂正部分はもちろん直して愛莉に作品を渡した。
「は、はい!」
さっきまでのことを忘れていないのか、まだ顔が赤くなっていた。
「すごい……二日でこんな分厚さ。やっぱりお兄ちゃんは天才です!」
「いや、そんなことないんだけど……」
愛莉に褒められ少し照れる俺。
少し否定的なことをいってしまったかもしれない。
別に俺は、自分のことを天才などと思ってはいないのでいいのかな……。
「今回はラブコメですか……主人公と少女がちょっとエッチな展開になりながらも愛を深めていく……なるほど、あらすじだけでも面白いです!」
大きな瞳をキラキラと輝かせて、俺のベッドに座りその作品を読み進めていく。
俺の作品の多くは、少しエッチな、つまり性描写を多く入れることがある。
今回の作品は、少女が主人公のことを好きになり、少女からエッチなことをされるという、いわゆる逆エッチ?な描写を多く入れている。
そのためか、愛莉は少々顔を赤らめているが……この作品、実は中学生とかを対象にしているので、小学生である愛莉にとっては、少々刺激が強かったかもしれない。
ごめんな。この作品、小学生を対象に作ってないんだよ。
そして数分後。
「……その、ちょっとえっちだったけど、お、面白かったです!」
作品を読み終えたのか、愛莉は顔を上げると俺にそう言ってきた。
「そ、そうか。前の作品よりちょっと多めに入れたけど……大丈夫だったか?」
「は、はい!ぜ、全然だいじょぶれす!」
あらら……完全に興奮しきってるなこりゃ。
「いや、実はこの作品、中学生以上を対象にしてるからさ、小学生である愛莉にとっては刺激が強すぎたかなって」
「そ、そんなことないです!」
そういいながら俺に作品を返す。
作品を机の上に置くと、うーんと背伸びをする。
……少し寝ようかな。
昨日からぶっ通しで小説を書いていたため、すぐに眠気が襲ってきた。
「ちょっと寝ることにするよ。だから、愛莉は自分の部屋で好きなことやってきていいよ」
そういいながら、ベッドに身を投げる。
「い、いえ、お兄ちゃんが寝るなら私も一緒に寝ます!」
続いて愛莉も俺のベッドに入ってきた。
いやそれは嬉しいんだけど、ロリと二人きりで寝るとかヤバすぎるだろ……。
「さ、さっきの作品の描写にも、主人公と少女が一緒に寝るところがあったので……少しいいですか?」
かわいい顔でそういうとか違反ですよ。
「あー……まあいいか」
ロリと一緒に寝るとか、何か起きないわけはない。
「……お兄ちゃん」
愛莉は何かつぶやくと、急に俺を抱きしめてきた。
ロリの力なので、ほとんど何も感じないが……。
「ふふっ……大好きです」
「――はっ!?」
――というところで目が覚めた。
なんだ今のは……まさかの夢オチだと?
しばしの天井を見つめた後、隣を確認する。
そこにはさっきまで一緒だった愛莉がいなくなっていた。
…………はぁ………。
まあそうだよな。
ロリと一緒に寝るとか、それは俺の妄想であって。
妄想が夢になって出てくるとか、これは完全にロリコンですね。
「うーん……」
あまりにも非現実的なことに納得がいない俺。
まずそもそも、二日で10万文字を超えるとかおかしいだろって話。
そして、俺は小説家としてデビューしていないのに、どうしてそこまで字数が書けたんだって話。
とそこで違和感に気づく。
なぜか布団の中があったかい。
それに、布団が少し盛り上がっているように見える。
布団をめくるとそこには――
「あっ、起きちゃいました?」
「……何してんだ?」
「お兄ちゃんの添い寝ですっ」
案の定、愛莉が布団の中に隠れていた。
「ふふっ……朝も言いましたけど、また変な顔して寝てましたよ?しかかも寝言まで」
「やめてくれ、恥ずかしい」
寝言というのはおそらく……あれだな。
「話は変わりますけど、時間的にはもうお昼ですよ?朝言った通り外食に行きますか?」
「……そうだな。外食に行こう。その前に、降りてくれないかな?このままだと俺……」
このまま俺の上に乗っていると、ちょっといけないことをしそうだから。
「ああっ、ごめんなさい。お兄ちゃんの匂いが好きなのでつい……」
それってもう、俺のこと好きですよね?
「それじゃあ、私はリビングにいるので、準備ができたら来てくださいね」
そう言って最後に俺に抱き着くと、俺の部屋から出て行った。
……やっぱり、愛莉は俺のこと好きだろ。
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