第7話

「お母さん!おはなみてー!」




日美斗がすこししおれた花を母にみせる。




「あら、きれいね」




そこに父親が入ってくる。




「きれいだな、あっちにも色々咲いてるぞ」




「えらびにく!」




「いこっか!」




「うん!!」




_____________




「日美斗、さよなら」




「まって、お母さん!僕もつれていって」




少年の目には、涙が溢れていた。




そんな我が子に目もくれず母親はドアノブにてをかける。




「まってよぉ!」




父親である良一は下を向きピクリともしない。








二人きりになった部屋で、良一はしばらく床を見つめていた。




大号泣の日美斗へ向かって一言。




「だまれ」




「うわぁーーーー!!」




「聞こえないのか!!!!」




バシッ




「ひぐっ、いたっ!」




突然の変化に日美斗はついていけず、ただひたすら静かに泣きじゃくった。




父親は会社の経営に失敗し借金5000万を背負い、更に借金を負いパチンコと酒に溺れ妻にあきれられ、家をでていかれた。元々優しい性格だったが妻が出て行ってからは冷たさが際だった。




_________________






「お父さん、お腹空いた」




「……」




もう四日もたべてない。


四日前にたべたのものは、パンひとつだ。




そんなある日突然腕をつられ、きたのが大豪邸だった。




「ようこそ、日美斗くん」




優しそうなおじさんが僕の頭を撫でる。




それからは、もう覚えていない。


あるのは、乱れはだけた白いシャツで泣きながら座り込んでいる少年一人だった。




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日常まで 華ノ 芥 @kano_akuta

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