第5話

「はい、日美斗くんあ~ん」




「いい、一人でたべる」




「もぅ、つれないね」




あれから、数ヶ月未だに林汰は何もしてこない。


ヨレヨレの服も買い換えてくれて今は普段からそれなりにこぎれいな格好をさせてもらえてる。




泰也のおっさんに金を返してくれて今は誰の所属でもない。


金渡しだけじゃつけてきそうな泰也だが、未だに何もしてこない。


ザッと数千万をポイッと払えるだけある。なにかしたんだろう。




あと、林汰は大学生じゃなくて社長らしい。


子供向け玩具の経営を親のコネなしでしている。




「日美斗、俺のことどう思う?」




「主人様」




なぜか、林汰がかたまる。




「そっそっそうなの?、」




「?」




「そっかぁ日美斗くんのご主人様かぁ、」




ふわふわした目で俺をみつめる。




俺なんかまずいこと言った?




「日美斗くん、キスしてもいい?」




「やだ」




「だ、だよね~そ、そうだ今日は食べにいく?通販ばっかじゃ飽きたでしょ」







「……いく」




ませてるだけで日美斗も16。以外と子供っぽい所もある。




_________________




「ほんとにここでいいの?」




俺が選んだのはとある牛丼屋だった。




「ずっと前から、ここきてみたかったから」




「そうなの?好きなだけ食べていいからね、」




食べ物も林汰が用意してくれる。いたせりつくせりな生活に最近は慣れてきてしまった。




「いただきます」




温かい牛肉が口の中で広がる上手さ。




「うまい!」




「ふふ、よかったいっぱい食べてね」




酷いことをしない林汰に少しずつ警戒心が解けていくにつれ、一つ引っかかる事があった。


林汰に少しきつすぎたんじゃないかなって…


あの時信じろといわれても無理だけどここまで良くしてくれる林汰に少し罪悪感がわいていた。






「あのさ、林汰」




「ん、なに?」




「最初の頃きついことばっか言ってごめん」




い、いえた




「へ?」




林汰がポカンと口をあける。


そんなに以外だろうか、




「あの、、日美斗くんが、?」




ボソボソと独り言をしゃべり出す林汰、




「日美斗くん、帰ろう、きっと熱がある。」




「?、元気だぞ?」




「日美斗くん、キスしよう」




「は?やだよ」




「よかったいつもの日美斗君だ…」




「ふっ、さっきからへんなの、」




日美斗がケラケラ笑う。



「すきだよ」




林汰が真顔になる。


よく林汰が言ってくれる言葉にある、すきだよ。


どう言う意味でゆってるのかは分からないけど、どんなときでもその言葉を発するとき林汰は真剣になる。




「ふーん」




だけど、俺は流す。最近好きって言われるたび変な気分になって苦手だ。




「そこはいつも通りなのかい…」




しばらくすると目の前の皿が空っぽになる。




「かえろっか、」

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