第18話

険しい顔で眠る雄二。

『ってな展開も出来たけど』

リンカはパチンっと指を鳴らした。すると毒入りのカプセルは宇宙船のカプセルの中に吸

い込まれていった。

(それにしてもこいつも災難な 1 日ね。恋人に殺されかけて間接的に殺して、親友を殺し

て、妹が殺されて…それから)

カチャッ。ドアが静かに開いた。洋一がこっそりと入ってきた。そして、机の上にいつの間

にか置いてあったチョコレートの箱を回収して出ていった。

『洋一には倫理の壁を乗り越えられなかったか』

晴れやかな顔で眠る雄二。

(兄には殺されかけて、母親が父親を殺して…)

不思議な夢を見た。

僕は公園のベンチに座っていた。その横には顔の見えない誰か…?何かが座っていた。

「あのここは?」

[ここはどこかって?どこだと思う?]

「えっ?あなたは誰?」

[僕が誰かって?僕は君か君以外かだよ]

「それってどういう意味?」

[それを聞いて一体なんの意味があるの?]

「なんの意味があるのって、それは…」

[それは?]

「分からないと気持ち悪いからだよ」

[気持ち悪いの?じゃあ、君は友達が何を考えているか分かるの?恋人は?家族は?]

「そりゃあ、一緒にいれば分かるだろ」

[本当にそう?恋人は君のことを愛しているの?]

「そりゃあ一緒にいるなら愛しているに決まっているじゃん」

[それって本当に相手の気持ち?自分が決めているだけじゃないの?]

「うーん…」

[でも、それでいいんだよ。君の人生で起こることは全てが全て君が決めたことなんだから]

なんともいえない顔で眠る雄二。

『どんな夢を見てるのかしら?じゃあね雄二』

リンカは宇宙船カプセルに乗り込んだ。何かを察知したリンカ。

『あっ!…おやすみなさい』

リンカの乗った宇宙船カプセルは窓をすり抜け、星空に消えていった。

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