第16話

「おやすみ」そう言って、僕は自分の部屋に戻った。

自分の部屋に戻ると、机の上に四角い箱があった。なんだこれ?

箱に触れた瞬間頭がクラッとした。

「あー、なるほど」

僕は箱を持ってトンと叩いた。するとポトンとカプセルが落ちてきた。

「やっぱり」

美咲ちゃんが家に来て母さんか兄ちゃんに渡したんだろう。

これで、僕が今日死ぬことはなくなった。

「リンカちゃん。これで僕は大丈夫ってことだよね?」

『…』返答はない。

「あれっ?おーい…。そういえば、これで僕は君のことも忘れてしまうの?」

『…』やっぱり返答はない。

「あいつどこ行ったんだ?」

時計は 23 時半を指している。公園のベンチに美咲は座って、星を眺めている。

「はあ、私はどうなっちゃうんだろう?」

冬の澄んだ空は星に溢れている。

「あー、綺麗だなぁ。あっ、流れ星」死にませんように、死にませんように、死にま…

目の前が一瞬眩く光った。

『それはもう無理なんじゃない』

「リンカ…」

星空をバックに舞うリンカは初めて天使に見えた。

「そっか、やっぱりダメだったかー」

『そうね。2 人分召さないとだから 2 日の猶予をあげたけどもうあと 25 分。あと、もう 1

人は流石にもう無理でしょ』

「えっ、あたしどっちか殺しちゃったの雄二?それとも洋一くん?」

『あんた 2 人とも覚えてるでしょ?』

「本当だ。じゃあ誰を?」

『どうせ覚えてないんだから誰でもいいでしょ?』

「っていうか、ターゲットと違う人でも良かったの?」

『別にいいわよ。アタシ達から見たら、あんた達なんてよく区別できないんだから。ターゲ

ットを決めたり決めさせたりするのはただの気まぐれよ』

「そうだったんだ…。誰か分からないけど消しちゃった人ごめんなさい。罪悪感もなくてご

めんなさい」

ピロリロリロリン。スマホを見ると雄二からだった。「はい。もしもし…」

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