第14話

スマホを見ると、時間は 21 時。武志の家に着いたものの、これどう渡したらいいんだろう?

あいつスマホ持っていないし…こんな時間にピンポン押してコンビニのお菓子を渡すって

どうよ?ってか、もう晩飯食ってるだろうし、今日中に食べるかどうかも分からないし…

どうしたら今日中にあいつを殺れるだろうか…

「あれ?雄二?」振り返るとそこには武志が立っていた。

「あっ、あっ、武志!」

「そんなびっくりしてどうした?なんか俺に用?」

「えっ、あーいやー…」

「今日学校休んでたけど、大丈夫か?」

「…うん、ちょっとこれから公園で話せない?」

「…」武志の顔が曇る。あれ?なんだこの沈黙。なんか警戒している?

「いや、今日は…」なんで?僕の殺気が漏れている?

「いや、よし行くか」なんだこの感じ?こいつ何かに気づいている?そんな訳はないよな。

公園に着くと、時計の針は 21 時 30 分を指していた。

「武志、わざわざありがとう。とりあえず、ベンチに座ろうか?」

「…うん」やっぱり変だ、道中も黙ったままだったし。こいつ一体何に警戒している?

「あっ、あのさー」

ピロリロリロリンピロリロリロリン…スマホが鳴った。画面を見ると洋一からだ。無視無視。

「えーっと、あのさー」

ピロリロリロリンピロリロリロリン…また洋一からだ。間が悪いな。ミュートミュート。

「携帯出ないで大丈夫?」

「全然全然。洋一からだし、こっちの方が大切だから。あのさー」

「ごっ、ごめん」えっ何が?

「俺、お前の気持ちには応えられない」うん?

「とっ、友達としてはいいやつだけど、俺そっちは分からなくて…」あっ、あー。

「お前の気持ちに向き合えなくてごめん」これもうめっちゃ学校で噂広まってる?えー。

「ほんまにごめん。今日はちょっともうキャパオーバー」そう言って、武志は公園から走り

去った。

「あー、あれー」立ち尽くすとは正にこのことだな。どうしたものか。

スマホを開くと洋一からの着信が 7 件。なんだよコイツ。通話ボタンを押す。

「洋一、なんか用?」「うん?どうした?」

「いや、いまめっちゃ電話してきたじゃん」「えっ、俺が?…あっ本当だ」

「なんだよ、誤動作かよ」「ごめんごめん。ゴーストタッチやわ」

スマホを切った。

「なんかもうどうでもいいや」

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