第12話
時計は 19 時を過ぎていた。
美咲は布団に包まってガタガタと震えている。
「…なんで?なんで雄二がまだ生きてるのよ?」
どうやら、私は最大のミスを犯したらしい。さっきベッドの下で見つけたこのカプセル。
…ということは、あの謎の天使とかいうやつを乗り物ごとチョコに入れてしまったっみた
いだ。
「私の馬鹿…」
それにしてもなんだろうこの倦怠感は?家に帰って更に体調が悪くなった気がする。体が
熱い…なんで私がこんな目にあわなきゃいけないのよ。
動悸が激しくなる。
私このまま死んじゃうのかなー?嫌だなー。怖いなー。私の人生ってなんだったんだろう?
なんかずっと損な人生だった気がするなあ。天邪鬼というか、思ってることの逆張りをする
癖というか。
みんながダンス習っていたら一人だけ太極拳に行っちゃうし、みんながケーキを食べてい
たら塩辛選んじゃうし、洋一くんを選んでいたら雄二を選んじゃうし。
私だって本当はダンスやりたかったし、ケーキが好きだし、紺色よりピンクが好きだし、何
より洋一くんの方が絶対いいに決まってるじゃん。
なんで、あの二人にしようと思ったんだろう?また私の悪い癖。
一番気になってる人と、たぶん一番好きな人。
私がやっていることを知ったら誰も信じてくれないと思うけど、私ちゃんと雄二のこと好
きだったんだと思う。
そんな 2 人がいなくなったら私は悲劇のヒロインだっただろうな。それも私のせいで…。
なんで雄二には渡せて、洋一に渡せなかっただろう?
というか、まだ私が死ぬ前にちゃんと 2 人に薬を飲ませることが出来たなら私は助かるん
だろうか?
どうせ死ぬなら、人なんて殺したくないなー。
それに身体が軋んで、もう動くことさえ嫌になってきた。息苦しい。
もう、私はこのまま死を待つしかないのかな?
いや、私は気力を奮い立たせてベッドから這い出て、部屋を出ていく。
「あらっ?こんな時間にどこ行くの?」リビングから母の声。
「あっ、えーっと、ちょっと明日準備するものがあって、文房具屋さんに…」
「早く帰ってきなさいよ」
「うっ、うん。いってきます」
もしかすると、人生最後かもしれないいってきますを言って、美咲は家を出た。
…また逆張りだ
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