第6話

『神のみぞ知る。私はそんな些細なことは知らないし、知ろうとも思わないわ』

「些細なことって…、親友を殺さなきゃいけないのに」

『親友って言ったって、まだ仲良くなってから 3 年くらいでしょ。大体あんた今の日本人

男性の寿命知ってる?直近の発表では 81.64 歳よ。あんたがこの先天命を全うするとして、

81.64 分の 3 だよ。そんな奴はこの先、何人だって出来るよ』

「なんだよそれ!お前、本当に天使かよ」

『まあ、神が決めたことだから安心しなさい』

「で、結局僕はどうしたらいいんだよ?」

『随分聞き分けがいいわね』

「だってやらなきゃ殺されるんでしょ?」

『それにしてもよ。圧倒的によ』

「なんだよ。それ褒めてるのかよ」

『褒めてる褒めてる。あなたはこっち側の人間だわ』

「なんだよそれ!神に従順ってか」

『ふふふ。まあそういうことね。じゃあちょっと待っていて』

そう言うと、リンカはカプセルの方に向かって飛んでいった。

初めて見た飛んでるリンカの姿はまさに天使…っというより…

『誰がハエみたいだって!』…まだ思ってもなかったのに。

カプセルの中に入ったリンカが中から、どうやったか同じくらいのサイズのカプセルを取

り出した。カプセル型マトリョーシカ?

「どうなってんの?」

『神のみぞ知る』

「またそれー。で、それはなんなの?それも船…だっけ?」

『これは、人を必ず死にいたらしめる毒薬よ。はい』

リンカが僕の手の平においたそれは、僕が花粉症の時に飲む薬となんら変わらないそれを

見るとなんか不思議な感じかした。これを僕が今飲むと死んでしまうし、人に飲ませると簡

単に殺せてしまうそれ。手のひらにおさまるそれに身震いした。

「あのー、ちなみにこれは手で触っても大丈夫なものなんですよね」なぜか敬語になった。

『まあ、中身はこの世には存在しないやばいやばい毒薬なんだけど、カプセル部分は全然大

丈夫だと思うよ』

「…そうなんだ」

『まあ、もう分かってると思うけど、作戦っていうのはこのこの世では絶対に検出されない

毒薬を義理チョコに忍ばせて…。もう分かるわよね』

「ごめん。ちょっと待って」

僕は部屋のドアを開けて洗面所に向かった。

安全って言ったってやっぱ気になるんだよな。その後 10 分間に渡り念入りに手を洗った。

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