第1話裏 神様の憂鬱
「全く、この世界は本当につまらないな。」
神は少し退屈をしていた。
平和過ぎて実際につまらないと思ってすらいた。
『平和な世界、それは僕達神ですら望んでいた形だったが、実際に蓋を開けてみると、とてもつまらない空っぽな世界だ。
本当に、面白みがない。
いっそこのまま滅ぼしてやりたいと思うが、僕達神には願いという制約がついているから、本当に面倒臭い。』
願いは流れ星に乗って神の元に届くが、流れ星に願いを乗せることが出来る人物はかなり少数どころか、存在すら危うい。
そんなことを考えている神の元に聞き捨てならない願いが届いた。
『神様、どうかこの世界に俺が報われるような不幸が訪れますように。』
「この男、なるほどな。不当解雇+懲戒免職か……、なるほど、それならば、そんなことをする世界に絶望もしてしまうか。ならば、かねてよりの人類進化計画をここで試してみるか!!」
神は杖を振った。
『どうしようもないこの世界に絶望と人間には進化の可能性を』
そうすると、世界に変革が現れた。
世界には魔物の出現により、ほとんどのビルが倒壊し、都市は、廃墟となり、逃げ遅れた年寄りと金持ちはほとんどが死んでしまった。
そのお陰で、天界では死人の受入作業であたふたしていた。
「神帝様、一体地上で何を……」
天使のひとりが神帝と呼ばれる神の部屋に入ってきた。
「おやおや、ラファエル。何を慌てているんだい?」
「まさか、あの計画を始めたのですか!?」
「そうだが、何か問題でも?」
「あの計画はルシファーが提出し、却下してルシファーを煉獄送りにして封印したじゃないですか!それに、アレは人類が望まないと……」
「そう、人類が望んだから、形にしただけだよ。僕はね、正直人類が滅ぼうが、魔物が進化しようが正直興味なんてない。でもね、」
神帝はラファエルまで近付き、ラファエルの顎を少しクイッとした。
「浅木 陽、彼の心情と行動には少し興味が湧いた。だから、人類には、進化の可能性を残したんだよ。」
「まさか、レベルアップシステムを埋め込んだんですか!?」
「流石ラファエル、本当に君は優秀だね。それに、とても美しい。どうだい、今晩だけでも」
「ふざけないでください。」
ラファエルは神帝の手を払い除ける。
「もう後戻り出来ませんからね。人類が滅亡しても知りませんから。」
「多分だけど、それはないよ。だって、彼が、彼の気持ちひとつで全てがひっくり返るからさ。」
「……、それでは私は忙しいので、失礼します。」
そう言うとラファエルは、部屋を出た。
「さてと、さあ、ここからが本番だよ、浅木 陽。君は僕が、この神帝が認めた唯一無二の存在だ。存分に楽しむといい!!」
そう、この神は少し邪神だが、どの神よりも偉い、神の帝、神帝であったのである。
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