第9話 個性的なキャラクターの作り方って?

個性的なキャラクターの作り方って?


 今回もご質問からです。

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明千香様


登場するキャラたちの性別・年齢・境遇を意識して変えても、根本の性格は似通っているということに気づきました。まるで違う作者が設定したのではないかと読者に思わせるくらい、キャラたちの性格に変化を持たせるにはどうしたらよいかを、現在、模索中です。

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 登場人物を考えるとき、ひとりの書き手がひねり出せる「キャラクターの振れ幅」ってほとんどないのが実情です。


 なぜキャラクターが似通ってしまうのでしょうか。


 昭和の文豪であればこう言うでしょう。



「人間観察ができていない」と。



 確かに人間観察をして、世の中にはどのような人が存在するのかをつぶさに観察するからこそ、「キャラクターの振れ幅」が大きくなる面がかなりあります。


 しかしある程度小説を書き慣れているときに「人間観察」から始めるのでは甚だ効率が悪い。

 ではどうするか。


 まずは「たくさんの物語に触れて」ください。

 たとえば『ドラえもん』を観れば、ドラえもん、のび太、しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫、出木杉くん、先生、のび助、玉子といったキャラクターが自然と身につきます。

 『それゆけ!アンパンマン』は出てくるキャラクターも多いのですが、メインどころだとアンパンマン、カレーパンマン、食パンマン、ジャムおじさん、バタコさん、チーズ、メロンパンナちゃん、ロールパンナちゃん、バイキンマン、ドキンちゃん、ホラーマンあたりは昔から出ているのでキャラクターの引き出しも増えていきます。


 もっとリアリティーのある人間観察がしたい場合。

 たとえば『名探偵コナン』ならさまざまな事件を扱っている関係で、人間関係やキャラ立てがかなりしっかりしています。まあ犯罪を起こす人の心理のほうが強く学べる作品ではあります。

 推理モノなら『相棒』『科捜研の女』のような作品でも放送期間が長いので参考になるキャラクターがいくらでも出てくるでしょう。



 なにが言いたいのかと言うと、

「人間観察がなされて生み出されたキャラクターから要素を抽出する」

 のが最も手っ取り早いのです。


 私はアニメ好きなので、俗に「なろう系」のアニメ作品もよく観ます。

 アニメで観ても、キャラクターが似通っているんですけどね。

 こんな判で押したようなキャラクターでもウケるんだ、と思うと創作意欲が減衰してしまいますが。

 最近では「異世界転生」もののアニメ化が流行ったせいで、転生前の人格が似通っているという共通点も見つかりました。


 キャラクターの幅を広げたければ、キャラクターの幅が広い作品を読めばよいし、観ればよいのです。


 夏目漱石氏の『坊っちゃん』なんて、今見てもかなり振れ幅の大きなキャラクターで構成されていますよね。

 ああいう作品が書けるのも、夏目漱石氏が学校の教員として実際に多くのキャラクターに触れてきたからなのです。


 だからといって、今から「教壇に立てばキャラクターが広がりますよ」というわけにもいきません。



 昔の書き手や出版社は「どれだけ小説を読んできたかは、作品を読めばわかる」とおっしゃっています。


 これが意味するものこそ「キャラクターの振れ幅」なんですよね。

 昔は小説こそ娯楽の王道でしたから、たくさんの小説を読まなければ、「キャラクターの振れ幅」が大きくならない、と考えられていたのです。


 確かに一理あるのですが、今の娯楽の王道は「インターネット動画」です。

 平成時代に最右翼だったテレビですらなくなってきています。


 ただし「インターネット動画」をいくら観ても「キャラクターの振れ幅」は大きくならない。

 そもそも「インターネット動画」は同じキャラクター(配信者)を観て楽しむ娯楽です。

 「キャラクターの多様性」を求むべくもありません。



 となれば、少し時代は戻りますが、テレビドラマや映画などが今でも創作者が触れるべき娯楽の王様でありつづけています。



 現在は小説投稿サイトがあるので、ここで人気のある作品をたくさん読めば、より読み手ウケするキャラクターに仕上がるのでは!!


 と考える方がいらっしゃるのですが、まったく同じ発想をする方が山ほどいるので、結局のところ「没個性」つまりテンプレートなキャラクターしか生み出せなくなってしまいます。


 自分が好きなジャンルならいくらでも読めますが、「キャラクターの振れ幅」を広げたければ「嫌いなジャンル」こそ読んだり観たりするべきです。


 どうして自分はこのジャンルが嫌いなんだろう。

 どういうキャラクターが受け入れられないんだろう。


 そう考えていくと「自分には理解できないキャラクターだったから」という理由が見えてきます。


 そうなのです。読みたいものを読み、観たいものを観るだけでは、キャラクターが偏って当然。

 「嫌いなジャンル」「苦手なジャンル」にこそ、自分だけでは発想できないキャラクターが眠っているのです。


 そして「なぜこのキャラクターを受け入れられないんだろう」と考えて、どんな要素や心理が自分には合わないんだと気づくまで分析してみましょう。



 「キャラクターの振れ幅」を広げたければ「人間観察」をするのが一番です。

 そして現在はさまざまな目利きによって多くの物語のキャラクターが生み出されているのです。

 だから小説だけでなく、マンガやアニメ、ドラマや映画、ドキュメンタリーからバラエティーまで。

 「人間」を意識して読んだり観たりすることで、「書き手の中のキャラクター像」は増やしていけます。

 ゲームでもよいのですが、キャラクターの出てこないゲームもありますし、物語性の強いRPGであっても、プレイするのに数十時間から数百時間かかるようでは時間効率が甚だ悪いのでオススメできません。



 昔は本当に「小説を読んでいない」という理由で落とされていたんですよね。

 でも今は小説である必要はありません。

 もちろん小説なら文字でどのように表現したら、キャラクターを描写できるのかも含めて学べますから、優秀な作品を読めばスキルアップにもつながります。


 しかし「この文体、あの作家に似ているんだよなあ」がマイナス要素となって落とされることもあるのです。


 それなら、なにも小説だけに留まらず、「広く物語に触れる」のをオススメ致します。




占いの書籍にお宝が眠っていることも

 物語にはキャラクターが詰まっています。

 しかしそれも小説投稿サイトで流行しているキャラクターに染まってしまう危険性もあのです。


 では自分が思いつかないようなキャラクターをどのように作ればよいのか。

 私は「占いの書籍」に行き着きました。


 たとえばよくある「十二星座占い」ですが、これだけで12タイプのキャラクターが見えてきます。

 書き手の中で納得のできる星座もあれば、首をひねりたくなるような星座もある。

 しかし別の人が読めば、あなたが納得できるものが納得できない、納得できないものが納得できるのが占いなのです。


 つまり「人間観察」の粋が「占い」の本質なのです。

 獅子座の人は強気で押せ押せだと書かれてあっても、内気な人からすれば思いつかないようなキャラクターになりますよね。


 私は「キャラクターの振れ幅」を広めるために、「タロット」と「数秘術」を分析し、現在「四柱推命」に挑戦しています。東洋的なキャラクターにも興味が湧いてきましたので。


 占いの解釈を読むだけで「世の中にこんな人がいるんだな」というのがよくわかります。

 わかることと使えることとには距離がありますが、理解できないものを使えるはずもないので、今はたくさんのパターンを吸収している最中です。


 小説の創作のためだけにここまでやる必要はありませんので、普通の方は「十二星座占い」でじゅうぶんだと思います。

 「もう少し突っ込んだものがいい」という方は「365日誕生日占い」の書籍を購入するとよいでしょう。

 これは366パターン(閏日込みで)のキャラクターが出てきますので、小説のキャラクターで一作十人ずつ使っていっても36作も書けてしまいます。


 ですので、オススメは「365日の誕生日占い」の書籍たとえば『増補版 誕生日大全』『数秘術で占う 366日誕生日全書』などを一冊買っておくと、当面キャラクターに困らなくなりますよ。





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毎度の告知です。


 本コラムでは、皆様からさまざまなご質問をお待ちしております。

 私ひとりで思いつくネタの数なんてたかが知れていますからね。

 小説を書くうえで疑問に思ったこと、不安に思ったこと、迷っていること。

 そんなことがございましたら、ぜひコメントを残していただけたらと存じます。

 私が「小説の書き方」コラムで蓄積した知識を、より実践的にお示しできたら、きっと皆様のお役に立てるでしょう。

 皆様のご質問を心よりお待ちしております。


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