第19話 善行
私は鼎、イスに縛り付けられて身動きが取れない。でも、きっと、彼が、烈火があの時のように助けてくれるよね?真っ暗なこの世界の中から、、、
「先輩!鼎先輩!よかった、意識はありますね、、、」
やっぱり、あの時みたいに、あなたは私を助けてくれるんだ、、、
私は自分がまだ小学2、3年生だったとき、母親を亡くした。その原因が自分にあると思い込んだ私は、それから『人に合わせる顔がない』という言葉が一人歩きして、人と会うときは黒いビニール袋を頭に被っていたっけ。そのせいで私はいじめの標的にされた。だけど私はビニールを外さなかった。意地でも外さなかった。そんなある日、いつも通り下校時にいじめられていると、1人の少年が私といじめっ子の間に立ち、「やめろ、おまえら!いじめてるじぶんがみじめだとおもわないのか!?」と彼らを一蹴した。いじめっ子を追い払ったその少年の右胸には『にすいれっか』と書かれた名札が付いていた。「あなたはほんとうはすごいひとなんだから、じしんをもって。ほら、こんなのははずしちゃえばいいんだ」彼はそう言うと、私の被っていたビニール袋を外して、笑顔で励ましてくれた。それからは人前に出るときは常に堂々とするように心がけた。友達も出来て成績も上向きになった。
だからあなたは恩人なの、烈火。その事をあなたが覚えていなくても、私にとってはあなたは大事な人なの、たった1人の大切なあなた、、、
「烈火、酷いケガじゃない!」
「先輩と草太は無事みたいですね、よかった、、、」
僕は鼎先輩と草太を縛っていた縄を解いた。流石に全身が痛むな、、、
「おい、ダメ息子、いや、烈火」
楓さんが部屋に入って来た。
「全ての元凶の明星透の居場所を掴んだ、今から行けるな?」
「、、、はい」
「烈火!」
「二水先輩!」
「必ず帰ってきます、、、!」
僕たちは警察に2人を保護してもらってから明星透のいるテレビ局に向かった。
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