第12話 草太の悩み
僕はいつも通り乃木家の近くに位置する高校へ足を運んでいた。すると、、、
「草太、、、?」
草太が不安そうに周りをキョロキョロしていた。気になったので声をかけてみた。
「草太、おはよう」
「うわっ、びっくりした!って、先輩ですか、、、」
草太は僕を見るとどこか安心したようにつぶやく。
「どうしたの?高校への道ならこっちで合ってるよ」
「あ、そうですね、そうでした、、、」
妙だな、、、
(妙だね)と律人。
(いや、おかしいだろ。道に迷うったって、こいつが登校するの何度目だよ)と一太。
(ちょっと一太、あんまりはっきりと言うなよ)と律人は一太を制する。
「ねえ、草太、もしかして道に迷って、、、」
「先輩!一緒に行きましょう!!」
「お、おう、、、」
草太の勢いにけおされ、共に登校することになった。
その日の昼休み、、、
「ねえ、照」
僕は今朝の件を、草太の名前は隠して照と光に相談することにした。
「昨日、一昨日通った道を忘れることってある?」
「いや、ねえな。姉ちゃんは?」
「私もないわね、どうしたの?突然、、、」
「いや、ないならいいんだ、ないなら、、、」
「おっと、麺が伸びちまうな、早く食わねえと、、、」
その日の放課後、、、
僕はあれから草太のことが頭から離れなかった。
(そんなに気になるなら、いっそ本人に聞いてみれば?)と律人は提案する。いや、照と光の件もあるし、あんまり踏み込みすぎるのはちょっと、、、
(そうだね、程々にね)
今日は一人で下校していた。すると、、、
「草太」
「うわっ、ってまた先輩ですか、、、」
「またとはなんだよ、またとは」
「いえ、、、今朝のこと気にしてます?」
「まあ、気にしてないと言えば嘘になるけど、無理して話さなくても良いよ」
「それなら、、、」
草太は意を決したように言った。
「僕、方向音痴なんです!」
知ってた。
(知ってた)
(知ってたぜ)
「帰り道は家の方角だから分かるけど、行きはまだ慣れない高校なので、よく迷うんですよね」
その言葉が聞けて安心した。
「話してくれてありがとう、草太。だったらこれから登校するときは一緒に行かない?」
「いいんですか?」
「草太が慣れるまでの間ね、明日からよろしく」
「ありがとうございます、二水先輩!」
その時の草太の表情は今朝とは打って変わってとても明るかった。僕らは待ち合わせ場所を決め、そこで落ち合うことにした。
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