第7話 輝良姉弟

それからしばらくして、僕は高校の授業の課題に頭を悩ませていた。それは、自分の両親について作文を書くという無理難題だった。僕がしばらく何も書けず、机に突っ伏していると、不意に両隣りにいる双子が目に入った。彼らも同じように机に突っ伏している。どうしたのだろう?

(ちょっと、気になるね。授業が終わったら話してみたら?)

そうだね、と律人の提案を受け入れ、放課後に彼らに聞いてみた。

「ああ、それか。俺たち、実は孤児院の出身なんだ」

照は頭をかきながら淡々とそう言った。

「でも、割と普通に過ごせてるんだよね、これが」

と光は相変わらずサバサバとしていた。光は続ける。

「孤児院の人たちも良い人ばかりだからね。親がいないくらいどうって事ないわ」と言い切った。

「おう、姉ちゃんの言うとおりだな。俺たちは全然苦労してないぜ!」

そうか、彼らも僕と同じなんだ、、、よし思い切って言ってみよう。

「僕も実は両親がいないんだ。いきなり殺されるもんだからビックリしたよ」

「殺、、、」照は文字通り言葉を失った。光も同様だった。

「もしかして烈火が転校してきたのも、、、」と光。

「そうだよ。鼎先輩の実家、僕の事件を調べてる人の家に住まわせてもらってるんだ」

「なるほどそんな事が、、、」

「ちょっと、照、あんたホントに分かってる?じゃあ、乃木先輩と仲がいいのも、、、」

「そう、一緒に暮らしてるからかな。実感はまだあんまりないけどね」

「そう、、、か、、、」

向こうからかける言葉がないのだろう。だったら、、、

(ちょっと烈火、ストッ、、、)

「僕には思い出せる両親の姿があるけど、照と光にはいないんだね。それはキツイな、、、」

「おい、烈火。その言い方はちょっとないぜ」と照。突然、口調が変わった。空気がピリつく、、、すると光も、、、

「私たちに同情なんかいらないわ。あなたも同じじゃないの?」

「え、、、僕はそんなつもりじゃ、、、」

「お前とはしばらく一緒に帰らない。姉ちゃんもいいだろ?」

「ええ、私たち、しばらく距離を置いた方がいいと思うの」

僕は彼らから見限られたらしい。それ以来しばらく輝良姉弟とは口を聞かなくなった。

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