第4話 新しい高校生活
ある日、乃木さんが僕にある提案をしてきた。
「お前はあれ以来高校に通えていなかっただろう。これから新しい学校に転入してみないか?ここの近くに鼎も通う高校があるんだ」
僕はその提案を二つ返事で受け入れた。確かに僕は学校を休んでいた。それは精神的に落ち込んでいたからなのだが、ここ最近、乃木家の生活にも慣れ始めていたので、そろそろまた学校に通うことを考え始めていたところだ。だが、元々通っていた高校はここからだいぶ離れている。なので乃木さんの提案は願ったり叶ったりだった。
僕は翌日、鼎先輩の案内でその高校を訪れていた。
「烈火、困ったことがあれば何でも相談するんだよ!」
「ありがとうございます、鼎先輩」
僕は早速校内に入り、鼎先輩と別れ、職員室を訪れていた。
「じゃあ、着いて来て、教室に案内するから」
僕は担任の先生に従い、教室の前まで来た。
「これから軽く自己紹介してもらうけど、あまり緊張せず、気楽にね」
そう言うと先生は僕を教室に誘導した。
「初めまして、皆さん。二水烈火といいます。これからよろしくお願いします」
僕は簡単に自己紹介を済ませ、席に着いた。すると間も無く、右隣りの席にいた少年からものすごい勢いで話しかけられた。
「よう、転校生、烈火!これからよろしくな!!」
「おおう、よろしく、君は、、、」
「俺は輝良照(きらてる)っていうんだ!照って呼んでくれよな!!」
「照だね?こちらこそよろしく。ところで左にいる君は照のお姉さんだね?よろしく」
「!?」
左隣りの席の少女は驚いた様子でこちらを見る。
「え、、、何で分かったの?」
「いや、見れば分かると思うけど、、、」
「いやいや、俺たちあんまり似てないから普通は分かんねえよ、、、」
すると少女も自己紹介する。
「私は照の双子の姉の光(ひかり)。これからよろしく」
光は軽く会釈をするとすぐに先生の方へ向き直った。姉の方は弟と違い冷静なんだな。
僕は人付き合いが苦手な自分に転校初日から知り合いが出来たことに驚いた。その日は午後からの一般教養の授業を受けた。そして帰り道、偶然輝良姉弟と帰り道が同じだったので、一緒に帰路についていた。
「なあ、お前、乃木先輩と仲良いのか?今朝、窓から一緒にいるとこ見たぞ」と照。
「ちょっと照。そういうプライベートなことはあんまり、、、」と光。
「いいじゃねえか?俺たち友達なんだし」
照は僕と肩を組んできた。
「仲がいいって言うよりも、鼎先輩は同じ家に住む家族みたいなものかな」
すると2人は驚いた様子だった。
「えっ、お前、先輩とそういう関係なのか!?うらやましいなぁ、俺も乃木先輩とお近づきになりてぇなぁ」
「乃木先輩いいよねぇ。美人だし頭も良いし、リーダーシップもあるし、性格も良さそうだし」
どうやら鼎先輩はだいぶ慕われているらしい。僕もそれがちょっと誇らしかった。
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