第3話 孤独の自覚

その晩、僕は自室となった部屋のベッドに横になっていた。そこでとてつもない孤独感に取り憑かれていた。自分の両親が突然殺された自覚が出て来たからだ。僕はここ数日間の出来事を回想していた。自宅に帰ると両親の遺体を発見し、警察に連絡、それから警察署で尋問、尋問の担当となった人たちはほとんど僕に優しく接してくれた。それでも僕の心の傷が癒えることはなかった。

「っ、ううっ」

僕の目からは涙がこぼれていた。2人が死んで僕は一人ぼっちだ、これからどうすれば、、、この時、僕に語りかける存在がいた。

「俺を解き放て、、、!そうすれば楽になれるぜ、、、!」

と。その時僕がその正体に気づくことはなかった。

「烈火?」

泣き声を聞かれたのか、鼎先輩が僕の部屋に来ていた。

「烈火、、、」

「鼎先輩、、、すみません、うるさかったですよね、、、」

「烈火」

先輩はいつの間にか僕を抱きしめていた。

「辛いよね、身近な人が突然いなくなるのは。私にもその辛さを分けて欲しいな。実はね、私のお母さんも私が小さい頃に死んだの。だからね、その気持ち少し分かるな」

鼎先輩は共感してくれた。僕は彼女に抱かれ、気が済むまで涙を流していた。


僕は明け方、俳優の明星透の出てくるドラマの再放送をリビングで見ていた。彼は大物で、彼が出るドラマの多くは人気作になっていた。でも、与えられる役は裏表のない良い人間のものばかりで、僕は逆に彼の本性を知りたいと思ってしまった。

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