第11話 仲良くなりたい 

 和剣わつるぎ 寧子しずねはいきなりストライクをしたのだが、本人ほんにん納得なっとくしていなかった。


 寧子しずねはカップの自動販売機じどうはんばいきでオレンジジュースをい、ほか三人さんにん座席ざせきへともどった。


 菅沼すがぬま ひろし寧子しずねう。

 「す、すごいね和剣わつるぎさん。いきなりストライクすなんて.........。」

 「いや、すごくないね全然ぜんぜん。」

 きゅう寧子しずね口調くちょうわった。

 とても不機嫌ふきげんそうにえる。

 

 土田つちだ 敏幸としゆき寧子しずねいかける。

 「え?なにがいけなかったんだよ。見事みごとなストライクだったぜ?」

 「んー、もっとこう、きゅーんと、きゅーんとがってしかったのに、さっきのはぶーんってかんじだった。」

 寧子しずね両手りょうて理想りそうのカーブを表現ひょうげんしたが、ほか三人さんにんにはよくわからなかった。


 「ま、まあとにかく、和剣わつるぎさんにはこだわりがあるんだな。」

 敏幸としゆきえず無理矢理むりやり理解りかいすることにした。


 二投目にとうめ寧子しずね以外いがい三人さんにんたいした結果けっかにはならなかった。

 外神とがみ なぎさ九本きゅうほんのこりの絶望的ぜつぼうてき下手へたくそコンビは絶望的ぜつぼうてき下手へたくそなのでゼロほんであった。

 なぎさ敏幸としゆきひろしかってこうった。

 「おまえ一体いったいなにしにた?」

 「........................。」


 二人ふたりとも全身ぜんしんしろになっていた。

 

 それから三投目さんとうめ寧子しずねはストライクをめ、ターキーとなったのだった。

 寧子しずね意外いがい一面いちめん三人さんにんは、その寧子しずねすごさに驚嘆きょうたんしつつ、寧子しずねけていった。


 スコアはというと、菅沼すがぬま ひろし四五よんじゅうごてん土田つちだ 敏幸としゆき四七よんじゅうななてん外神とがみ なぎさ百八二ひゃくはちじゅうにてん和剣わつるぎ 寧子しずね三百さんびゃくてん

 寧子しずねはパーフェクトゲームを達成たっせいしたのだった。


 「うち、パーフェクトゲームはじめてたわ......。」

 なぎさった。

 

 「おれもだ。」

 ひろしがマイ金玉きんたまいや、マイボールをぬのみがきながらった。


 敏幸としゆき自分じぶんのスマホをながら、

 「お、もう六時ろくじか。そろそろかえろっか。」

 とった。


 四人よにんはボーリングじょうて、そこから一番いちばんちかえき善蔵ぜんぞうえきへとかった。

 あるいている途中とちゅう敏幸としゆきとなりあるいている寧子しずねはなけた。


 「和剣わつるぎさんって、すげーんだな。」

 「え!?」

 寧子しずねはちょっとおどろいた表情ひょうじょう反応はんのうした。


 「あ、いや、あんなスゲー小説しょうせつけて、そのうえあんなにボーリングまで上手うまいなんてさ。」

 「.......まぁ、ボーリングは、家族かぞくでしょっちゅうってたから......。」

 「じゃあ、和剣わつるぎさんの両親りょうしんも、ボーリング上手うまいの?」

 「うん、すごくね。」

 「そうなんだ......。」


 そこできゅうに、敏幸としゆきがピョンッと寧子しずね真正面ましょうめんって姿勢しせいただした。

 それにつづいてひろし敏幸としゆき右側みぎがわに、なぎさ敏幸としゆき左側ひだりがわち、寧子しずねかって姿勢しせいただした。


 「ど......どう......したの?」

 そうった寧子しずねかって、三人さんにん同時どうじあたまげた。


 「!!」

 寧子しずねはびっくりして、おもわず背筋せすじびた。


 「「「ごめんなさい!」」」

 三人さんにん同時どうじ寧子しずねけて謝罪しゃざい言葉ことばはっした。

 

 そして、あたまげたまま敏幸としゆきう。

 「俺、和剣わつるぎさんの気持きもちもなんかんがえないで和剣わつるぎさんを馬鹿ばかにするようなことして.....本当ほんとうにごめん。」


 つづいてなぎさが、

 「あたしも、ふざけ半分はんぶんであんなことして、ごめんなさい......。」


 さらひろしも、

 「正直しょうじきへんなテンションになってたのしんでた......。ごめんなさい......。」


 すると寧子しずねこまった様子ようすう。

 「そんな、もういいよ......。あたし、いま全然ぜんぜんにしてないし......それに今日きょう、すごいたのしかったし............だから、もうあたまげて?」


 そこでようやく三人さんにんはゆっくりとあたまげた。

 そして敏幸としゆきう。

 「......ちゃんと、あやまってなかったからさ......。」

 「こ、これをに、仲良なかよくなれたら、うちら、うれしいなぁ......なんて。」

 なぎさがちょっとれながらった。

 

 「そうだよ、小説しょうせつはなしとか、まだしてねーし。」

 ひろしった。


 寧子しずねは、自分じぶんには友達ともだちなんてできないとおもっていた。

 幼稚園ようちえんころから、他人たにんはなすのが苦手にがてで、小学校しょうがっこうではミニバスのチームにはいっていたが、中学ちゅうがくではバスケをめ、一人ひとりでいることおおかった。

 まわりからは「あいつはくらくてつまんないやつだ」とわれつづけ、他人たにんとの距離きょりひろがることたりまえだった。

 体育祭たいいくさいなどの学校がっこう行事ぎょうじあとげにばれたこともいし、修学旅行しゅうがくりょこうなんてたまたまおねはんになったひとたちとすら自由じゆう行動こうどうともごしたことかった。

 しらすだい高校こうこう入学にゅうがくしたのだって、べつ友達ともだちしいからとかではなく、両親りょうしんから最低さいていでも高校こうこうておけとわれたからだ。

 そんな寧子しずねたのしみだったのが、ほんことだった。

 幼稚園ようちえんせいとき絵本えほん小学生しょうがくせいとき児童じどう小説しょうせつ中学生ちゅうがくせいになったら一般いっぱん小説しょうせつやライトノベルにはまった。

 そして自分じぶんでも小説しょうせついてみたいとおもうようになったのが中学ちゅうがく二年にねんせいころ

 それから現在げんざいまで趣味しゅみ小説しょうせついている。

 そんな唯一ゆいいつたのしみでいている小説しょうせつのノートが敏幸としゆきたちにふざけ半分はんぶんられた。

 いろんなひとせびらかすのだろうとおもっていたし、ネットにもさらされるんだろうともおもっていた。

 ーーなんでこんなうんだろう。

 自分じぶんなにわることなんかしてないのに。ーー

 寧子しずねはそうおもっていた。

 このさき自分じぶんらないひとからも馬鹿ばかにされ、ずっとずかしいおもいをして学校がっこう生活せいかつおくらねばならないのだろうか......。 

 今度こんどこそ本当ほんとう自分じぶん居場所いばしょくなると直感ちょっかんした。

 しかし、敏幸としゆきたち自分じぶんいた小説しょうせつ感動かんどうしてくれたのだ。

 そして、ノートをげたこと全員ぜんいん謝罪しゃざいしてくれて、さらには「仲良なかよくなりたい」とまでわれた。

 いままで一人ひとりだったはずの学生がくせい生活せいかつが、一気いっきわろうとしていた。

 気付きづけば寧子しずねは、おどろきの表情ひょうじょうかべたままなみだながしていた。


 「あ......あの、和剣わつるぎさん?............。」

 敏幸としゆきなみだながしている寧子しずねをなだめようと近付ちかづいたとき


 「わ......わたしも......仲良なかよく......なりたい......。」

 寧子しずねなみだながしていたが、なが前髪がみのせいでよくえないその表情ひょうじょうは、やさしい笑顔えがおだった。


ーーーーーーーーーー


 和剣わつるぎ 寧子しずねはじめての友人ゆうじんができてからしばらく時間じかんったよる九時くじ


 黒髪くろかみロングのちょう美人びじん高麗澤こまざわ 美蘭みらん

 美蘭みらん親友しんゆうで、黒髪くろかみツインテールの童顔どうがん(かわいい。)女子じょし池谷いけたに 葉月はづき

 金髪きんぱつ白人はくじんハーフのイケメン、善波ぜんば 兵庫之助ひょうごのすけ

 兵庫之助ひょうごのすけ彼女かのじょ金髪きんぱつロングで白人はくじんハーフの小悪魔こあくまけい美少女びしょうじょ梶原かじわら アリス。

 すこながめの黒髪くろかみなかけのイケメン男子だんし田島たじま けん

 そして黒髪くろかみストレートに眼鏡めがねするど目付めつきの芸術家げいじゅつかけい男子だんし葉月はづき友達ともだちになった、石田いしだ 壽亜としつぐ


 かれらひとんで『馬鹿ばか六匹ろっぴき』は、和剣わつるぎ 寧子しずね自殺じさつめようと、富士ふじ樹海じゅかいまでていた......。


 そこで、暗闇くらやみなか巨大きょだいひぐま対峙たいじしていたのだ。

 たとえ馬鹿ばかでもいのちうしないかねない状況じょうきょうであることは理解りかいしているようで、五人ごにんはゆっくりとうしろにがるが、一人ひとり雄々おおしくくまちはだかる正真しょうしん正銘しょうめい馬鹿ばかようだ。


 その馬鹿ばかひぐまかって凶悪きょうあくかおにらみつけながらう。

 「なんだぁ〜?テメェはぁ!!」


 『邪魔じゃまするならころすぞ』とでもいたげな態度たいどくまにらむのは、絶世ぜっせい美少女びしょうじょ高麗澤こまざわ 美蘭みらんだった。


 ひぐまVS馬鹿ばかたたかいがはじまった。

 

 


 


 







 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

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