第5話 弟は人気者になりたい
自分用の竹馬を買う必要も無いし、大会とかいう面倒くさい事も無いので気楽なのだ。
活動日は火曜日と木曜日のみ。
だからバイトも出来そうだ。
入部した後は二人ともすぐに家に帰った。
時刻は午後四時。
「ん、姉ちゃんお帰り。」
「ただいま。あれ?あんた部活は?」
「部活はー..................辞めた。」
「.........え?辞めたの!?」
「うん。」
「なんでよ?あんなに頑張ってたじゃん。」
「いやぁ、頑張ってたって言うか.........父さんを全国大会に連れて行きたかったからやってただけさ。父さんが死んだら、やる気失せちゃったよ。それより、父さんが教えてくれた空手をもっとちゃんとやろうと思って。」
「それで空手の雑誌読んでるのね。」
「うん。」
いろんな空手道場の情報が載っているらしい。
現在の身長は百七十センチ、体重は五八キロ。
黒髪でパーマはかかっておらず、姉の
柔道部だったが父親から空手を学んでいたせいか足が長い(柔道を一生懸命続けると足が短くなる人が居る。)。
顔はすごいイケメンであり、年下、同い年、そして年上の女子高生から絶大な人気があって、本人が知らないファンクラブまである程だ。
まったくいけ好かないキャラを作っちまったもんだ。
空手は父親から教えてもらっていただけで道場には通っておらず、試合に出た事も無い。
これで空手でも柔道と同様に全国大会まで行っちまったら、ガチでいけ好かねー野郎だ。
「どうだった?今日は。」
「部活に入ったよ。」
「あれ?バイトするとか言ってなかった?」
「毎日活動する訳じゃないのよ。火曜日と木曜日だけ。」
「そうなんだ。何部?」
「
「..................ん?何?なんつったぁ?」
「だからぁ、
そして姉に問う。
「え、何それ.........?」
「名前のまんまよ。竹馬で走り回るの。」
「竹馬って、走れるもんなのか?」
「凄いスピードだったよ?あたし見たんだから。もうあれしか無いわ。あれを極めるよ。」
「ああ、そう。」
「あと、合同空手道部っていうのもあったよ。」
「マジ?良いなぁ、俺もしらす台高校行こっかな。」
「来い来い。
「いや俺は合同空手道部入るから。いま自分が教えたんじゃん。」
「なーんだ、つまらん。」
「..................。」
ゲームをやってる様だ。
もしもここが教室で、
しかし
ってわけではなかった。
実の姉なのにイケメンの弟に横顔を見つめられるとドキドキがとまらなくなってしまっていた。
何故なら
おかしな事に、本気で弟を男として見ているのだ。
故に
「(た、
と、
「(姉ちゃん、やっぱり誰よりも美人だ!誰にも渡さない!俺の女にしてやる!)」
とか思ってないので安心しておくれ。
確かに
ましてや
じゃあ
「(姉ちゃんの鼻についてる包帯の球体は何だろう........?)」
という事であった。
そう、前話では触れなかったが、
しかし
「(これはギャグなのか?だとしたら俺はツッコむべきなのか?しかしどうツッコむ?このギャグの
と、
「あ、暑いね.........。」
と、言いつつワイシャツのボタンを胸元が見えるくらいまで開ける。さらに右足を椅子に上げて美しい太ももを弟に見せつける。
「(さあ来い弟よ。お姉ちゃんはもう心の準備は出来てるぞ!)」
「(この鼻についてる球体を取りたい!これではただの間抜けにしか見えん!.........いや、もしかしてこのギャグの意図は『変なアクセサリーを付けてる女』って事はなのか!?。『鼻ピアスがあるんだから鼻ボールがあってもいいだろ』的な。確かに、アクセサリーのつもりならウケるかもなぁ.........。つまり、仮に俺が付けてもウケるかも知れない!)」
姉の胸にも太ももにもまったく興味が無い
「(俺は学校では何故かみんなから距離を置かれているからなぁ.........。ここで一発ぶちかまして、俺は楽しい男だと思われたい!!)」
ただ単にイケメン過ぎるのだ。
故に女子は緊張して話し掛けられないし、男子すらも近づきがたい美しさがあるのだ。
しかも武術に
そして
「!!」
実の弟の事を男として見ている変態の姉は顔を赤くしてドキッとしていた。
そして
「もう..................我慢出来ないよ.........。」
変態の姉はキスを待つ様に目を閉じて
弟は姉の鼻に付いてるでっかい球体を鼻と思わずに
「ギョアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
姉は痛みに耐えきれず絶叫したのだった。
翌日.........。
「よし、行くぞ!」
自信満々だった。
しかし、教室に入っても、授業を受けてても、休み時間になっても誰も何もツッコンでくれず、クラスメートとの距離が感覚的には半径六百メートルぐらい広がってしまった。
「姉ちゃんめ.........絶対ぶっ殺してやる!!」
お前が悪い。
馬鹿。
続く!!
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