第12話 まさか、こんなにも早く

 こうして、俺とミレーユさんとの幸せ過ぎる密会時間が数日続いた。


 道下も気を利かせて同行せず、誰の邪魔も入らず、それはもう永遠に続いて欲しいと願うような、2人だけの世界だった!


 そんな俺の期待が、音も無く崩れ出すような一言をミレーヌさんの口から発せられるまでは......


「今日も、お疲れ様でした。明日は、道下さんもお連れして頂けますか?」


 えっ、道下も!

 せっかく2人で作り上げた楽園に踏み込まれてしまう!

 

 いやいや、元はといえば、道下を通じての御縁ではないか!

 もう少し大人にならねば!

 

「了解です、道下も連れて来ます!」


 ミレーヌさんに良い印象を与える為に、ここは笑顔だ!


「助かります!最後に、道下さんにもご挨拶したいので」


 最後......?


 聞き間違えではない!


 ミレーユさんの口から

 とうとう恐れていた言葉が飛び出した......!


 そろそろかも知れないという予感はしていたが、もう少し延長してくれる可能性も有るかも知れない事を心のどこかで期待していた、馬鹿な俺......


 その夜、俺は失意のどん底で泣きそうになりながら、道下に電話した。


「お前から電話なんて、珍しいな!ミレーユさんと何か有ったのか?」


 俺から道下に電話をするのは久しぶり過ぎて、道下に一大事と思われても仕方が無かった。


「ミレーユさんが、明日、道下も一緒に来てくれって......」


「なんだ、そんな事なら、学校で言ってくれても良かったのに」


 そんな事くらいで、わざわざ電話したのかと思った口ぶりの道下。


「それが......明日で、ミレーユさんと会えるのは最後なんだよ!」


 思わず、涙声で大きく言い放ってしまった!

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