第11話 ずっと続いてくれたら......

 昨日は、道下も案内役を買ってくれたが、今日から、道下は先週出来なかったオタク活動をするおかげで、俺1人でミレーユさんと密会できる!

 ミレーユさんは、道下の目には、道下好みのロリ路線に見えているというのに、それでも同行せずにいてくれるとは!


 俺は、良い友人に恵まれている!!


 ミレーユさんとのあの至高のお手合わせ時間も、道下に、アホ面になっているかも知れない俺を晒さずに済む!


 ミレーユさんには、またあの五芒星の術をしてもらって、俺の心の中は不可侵な状態にしてもらって、邪魔者もいなくなり、まさに密会という言葉に相応しいシチュエーション!


 道下には是非とも、明日も明後日も、もうこれからずっと、同行を遠慮してもらおう!

 道下だって、もう自分の番は終わっているのだから、今更、俺とミレーユさんがいちゃついているとこ見せつけられるのも苦痛だろう!


きっと、そうに違いない!

 俺が気を利かせて、道下にちゃんと声をかけとかないと!

 アイツ、律儀なとこも有るから、無理して付き添う事を優先しかねない。


 ミレーユさんだって、道下がいない事によって.....

もしかすると......

 もっと別の行動を取ってくれるかも知れない!


......という淡い期待も当然出来るし!



「今日は、浅間さんお1人なんですね」


 俺が1人で現れたのを見て、それほど驚いた様子もないミレーユさん。


「道下は、先週出来なかった用事が有るから......」


「先週はずっと、私がここで、道下さんをお引止めしていたから、申し訳無い事をしました」


 済まなそうな表情のミレーユさん。


「道下、そんな風に思ってないって。用事をすっぽかしても、ミレーユさんとこうして会えて、嬉しかったと思うよ」


 すっぽかされた本人の俺が言うんだから、間違いない!

 まあ先週は、ずっと俺がイライラしていたのは、今更否定出来ないが......


 「浅間さんは、優しいんですね」


 一体どうしたんだ、俺は!!


 そのミレーユさんの社交辞令的な一言だけで、ドキドキが止まらなくなる!

 

 この後は、あの何にも代えがたい幸せな時間が待っているというのに!

 まだドキドキするには早過ぎる!


 落ち着け、俺!

 

 昨日のおさらいを何度もして、自分の中では予行練習は済んでいたから、もうミレーユさんの一挙一動に驚かされない俺なんだ!


 昨日のビクビクでソワソワだった俺とは別人の俺になって、ミレーユさんに感心されたい!


 道下とは1週間逢引きを繰り返したのだから、俺とも少なくともその日数は逢えるはず!


 その貴重な時間を誰にも邪魔されず満喫せねば!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る