第13話 塩対応の道下

「ああ、そろそろ1週間だからな、そんな頃だろうね」


 大した事でもないような言い草の道下。


「そんな!お前、なんで、冷静でいられるんだよ?」


 俺とあまりに反応が違い過ぎる!


「あれ、浅間に話してなかったか?ミレーユさん、変幻自在の宇宙人だって」


「バカにするな!そんな事くらい覚えているよ!」


「おい、浅間、落ち着いて、考えてみろよ。原型が何だか分からない宇宙人にそんな入れ込めるか?」


 俺の感情の昂ぶりを心配している様子の道下。


「それじゃあ、お前は、ミレーユさんをそういう目でずっと見て来たのか?」


「そうだよ、仮に原型も地球人と違和感無かったとしても、所詮、宇宙人は宇宙人なんだから、不毛だよ。目を覚ませよ、浅間!明日、地球人を代表して2人でスッキリした気持ちでお別れしよう!」


 道下の言う事が分からないでも無かったから、その場は一応、頷いた。


 道下に、一緒に驚き、名残惜しい気持ちを共感してもらおうとして、電話したのに......

あんな冷めた態度で、しかも俺の方が、おかしいような調子で諭されてしまうとは!


 しかも、ミレーユさんを原型の分からない宇宙人って!

 まるで、虫けら並みの扱いじゃないか!


 原型の分からない宇宙人だとしても、俺の前に存在している時には、『真珠の耳飾りの少女』のような美少女というのに!


 原型の分からない......


 もしも、ミレーユさんの原型が、巨大なGのような姿だったら......

 さすがに、それなら、俺もお手上げだ!


 いや、そんなわけは無い!


 『真珠の耳飾りの少女』とは違うかも知れないが、宇宙人としての姿もミレーユさんは美しいはず!!


 第一、彼女は性格も温和で美しい!


 内面の美は、外見の美と一致するという、宇宙の大原則が有るに違いない!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る