第2話 眩し過ぎる御対面

 近付くにつれて、それはどうやら、太陽反射はもちろん火球でも隕石でも無い事が分かり、更に、年配者の頭部でも無い事を確認できた。


 東屋で待っていたのは、案内した道下が得意顔になるのも当然な、紛れもない美少女


 光っているように見えたのは、もしそんなものが存在するとしたなら、オーラとか、後光のようなものなのだろうか......?


 そんな神秘体験など無いから、分からないのだが


 とにかく、正視し難いほどの神々しさ!


 存在が許されて良いのか問い質したぃほどの可憐さ!


 それを持ち合わせた人との出会いなどは、俺の人生上、1度たりとも無かった!


 そこまで、可哀想な人生を送ってきたわけでも、なかったような気がするが......


 そういうものは、所詮、2次元の産物なのだと思い込んでいた


 待てよ!


 この美少女は、本当に


 人......なのだろうか?


 ギリシア神話の女神とも、お伽噺の妖精とも思えなくもない、現実離れ級の美しさ


 俺の目の前にいるのが信じられない!


 夢なのかも知れない!


 今までのモヤモヤも有った分、道下の背中を思いっきり叩いてみた。


「痛いな~!いきなり何だよ!」


「わりぃわりぃ」


 夢ではなかった!


 嗚呼、神様ありがとうございます!

 こんな美少女との出会いを設定して頂いて!


 そして、まだ俺が叩いた背中を痛がっている道下にも、感謝をせねば!

 独力では、こんな美少女と出会えなかったに違いないのだから!


「あのぅ......」


 その可憐な容姿にピッタリの、小鳥のさえずりのような心地の良い声は、僕の反応に対し、戸惑いを隠せない様子。


「浅間、そこまでガン見しなくても。まあ、気持ちは分からないでもないけど......」


 戸惑わせていたのは、俺が、つい凝視し過ぎていたせいだったのか!


「ごめん、まさかこんな......」


 人間離れした美少女が、この世に存在していて、更に、事も有ろうか、道下と毎日逢引きしていたとは!


 驚きと、道下への嫉妬で、イライラ指数がMAXになりそうだったが......


 それと同時に大きな疑問も湧き上がってきた!


 俺が道下の立場だったら、こんな美少女をわざわざ友達に合わせるだろうか?


 こう言っちゃ何だが......


 ビン底眼鏡でいかにもオタク風外観の道下に比べたら、俺の方がまだ男前......なはず!


 道下だって、それくらい自覚は有るに違いない......


 いや、そこは少し疑問だが.......


 自覚が有ると仮定して


 その俺に、これほどまでの美少女を敢えて合わせるという不利な状況を作り出すのには、絶対、何か裏が有るに違いない!


 美少女から目線を道下に移し、その目論見を探そうとした。


「そんな怖い目で睨むなよ。

 紹介するって!」


 紹介して欲しかったのは確かだが、マイペースつーか、ボロを出さない奴だな~。


「一週間前に、ここで知り合った

 ミレーユさん」


 その名前の響きまで美し過ぎて、名前を呼べる自信が無い!


 ん、待てよ


 横文字系の名前......?


 アルビノ系の色白さに、天然ものっぽい絹のようなブロンドと思ったら......


 日本人じゃなかったのか!


 いや、それはもう納得!


「どこの国から来たの?」


 日本語が分からないと思い込んでいたのと、照れ臭さから、つい道下の方を見て尋ねた。


「レージュ星から来ました」


 レージュセイ?

 そんな名前の国あったっけ?


 まさか......


 レージュ+星☆


 外国人でも、ハードル高いつーのに......


 もはや外国人ですらなく


 異星人!!


 俺が最初に疑っていた、女神や妖精に近いランクじゃないか!!


 神々しいのも、当然と言えば当然だ!


 そのレージュ星とやらのお姫様がなぜに、ここで道下と逢引きを重ねていた?


 解せない!

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