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「目隠しをしてね」
「してないと女の子は中に入らないから」
僕は女性にアイマスクのようなものを渡され、カーテンの向こうのドアのある部屋で待っているように言われた。
「服は脱いでね」多分服も脱がないと女の子は入ってこないのだろう。
部屋の中は、足下に置いてある籠を照らす灯りだけでほとんど暗闇に思えた。こんなとことで目隠しをする必要があるのかと思いながら脱いだ服をかごに入れ、目隠しをしてベットにあおむけになった。なんと無防備で情けない格好をしているのだろう。そのときドアのあく音がして誰かが入ってきた。
部屋の中がエキゾティックな香りに包まれる。そして柔らかくあたたかな肌が僕の体を包み込むように覆いかぶさってくる。あのシスターなのだろうか。僕にはもっと幼いように思えた。彼女は終始無言で、口から洩れる声だけが僕の耳に届く。思わず僕は彼女の背中に手をまわし抱きしめた。彼女はもっと優しくとでも言うように体をこすりつけてくる。僕は無意識に彼女の舌を自分の舌と絡ませた。
どうやって家まで帰ったのかはほとんど覚えていない。次の日も僕はミカちゃんと一緒に帰ることになった。きのうと同じ場所で別れようとするとミカちゃんは僕の手を引いて歩きはじめた。すぐそこは「レディ・ブルー」だ。ミカちゃんは店の脇をすり抜けるように歩きはじめた。そして、店の裏口のところで止まった。
「こんどからはここから入って」
「レディには話してあるから。これあたしがいる時間」そう言ってミカちゃんは僕にメモ帳の切れ端を差し出す。
僕が無言のままでいると「覚えてるでしょう」と言って僕の手を自分の胸に当てた。間違いなくゆうべと同じ感触。
僕ミカちゃんを好きでなくてよかったと思う。
そしてちょっと恐くなった。
レディ・ブルー 阿紋 @amon-1968
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