同級生のミカちゃんと暗い夜道を歩いている。文化祭の準備で遅くなってしまって

僕が送っていくことになった。単に帰る方向が一緒なだけ。特に意味はない。

 小柄で可愛いミカちゃんは信奉者が多い。これはクラスの中にとどまらない。先輩たちにもミカちゃんのことを聞かれたことがある。特に仲がいいわけでもないのに。そうなんだ。僕はその信奉者に含まれていない。そして僕は、信奉者たちのうらやましそうな視線に囲まれてしまった。背中にひしひしと感じた。ただみんなは、僕が送ることでひとまず安心している。僕がミカちゃんに気がないってことはわかっているから。最良の選択ともいえる。

 一人、太郎だけが気に入らないといった表情で僕を見ていた。

「誰だって送り狼になるからな」

 太郎の言っていることは半分ぐらい正しい。僕だってミカちゃんが可愛い女の子だってことはよくわかっている。全然興味がないかというと、それは嘘だ。

「シンゴ君、ここでいいよ。すぐそこだから」

 僕の記憶ではもう少し先のような気がしていたけれど、家の前までは嫌なのかもしれない。

「わかった、じゃまた明日」

 僕はそう言ってミカちゃんを見送った。

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