第14話
日が昇るのにあわせ、都の北辺にある
大内裏はこの国を統べる帝の住まいであり、また帝に仕える役人たちの政庁である。そこへ出勤する役人たちの列ができるのは、毎朝のこと。
牛車を使うのは
大内裏にはあわせて十四もの門がある。正門は南の
おもな門には、それぞれ楼が建てられて、
さて大内裏の内へと入れば、広い敷地内にこれまた多くの建物が並んでいる。中央には帝の居所である内裏があり、南には重要な儀式を行う
ひととおり挙げれば、
大内裏の朝は早い。
役人たちは参内するとまず、朝堂院へ集まるのが習わしである。昔、聖徳太子が日の本の帝のことを〝日出づるところの天子〟と表現した通り、朝日とともに人々の前にお出ましになる帝に、拝謁する儀式が行われる。
朱の頭巾をかぶった役人が出てきて、鶏のようにこけこけと鳴きながら鐘をついた。それを合図に、閉じられていた朝堂院の門が開き、待っていた官人らが続々と中へ入ってゆく。
大内裏に勤める者は
朝堂院の内は、白石の敷き詰められた広場になっており、北面には帝のお出ましになる
朝堂院の中へおおかた役人たちが入ると、門衛が門を閉め始めるのだが、やはり遅れてくる者たちもいて、彼らもなんとか朝参に間に合おうと、閉じる門へ目がけて駆けこんでくる。
「駆けこまないで下さい! おやめください」
と門衛が声を張るのだが、それでも駆けこむ者がある。
「朝参が始められません。駆けこみはおやめください!」
と何度も注意するのだが、朝参に遅れた者はあとで叱責を受けるからこれも必死で、あげく門の間に挟まりつつ、烏帽子を傾けながら中へすべりこむ者まであった。
さてそうした毎朝の騒動のあとに、ようやく場が落ち着いてくると、空気を清浄とさせる管絃の音が鳴り始め、朱あざやかな唐風の大極殿の上へ、帝がおごそかにその姿をお現しになった。
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