第9話父親からのプレゼント

貴司くんと、貴司くんの

お父さんが去っていった後……。


僕は、過去にあった自分への

イジメを思い出していた。

特に、学生時代は……酷かった。


『そういえば、病気になっても

イジメられてたなぁ。』

僕は……内面的にも男らしく

強くなりたいもんだな?と、

漠然に思い、家路へと向かった。



自宅に帰ると……。

『!!!。この匂い!!

……すき焼きだ!わぁ、、。』

母親が、ニコニコしていたので、

理由を聞くと、


『どうしたの?急に。

すき焼きだなんて……。』


『お父さんが指輪を、買い直して

くれたのよ?

結婚生活30周年記念だって。』


母親は指輪を眺めながら、

『色々あったけど、幸せいっぱい

だったわ。』


何だか僕の方が、照れてしまった。



3人ですき焼きを、囲んでいた

時……父親に話を振られた。


『ゆうと!

お前も、かなり回復してきたな。


お父さんも、安心してる。

どうだ?今後の事も考えて……

将来、何をやりたいのかを

考えてみたら?


もちろん、無理にとは言わないさ、あはは。』


父親は……ある箱を取り出した。

『お前の就職した時に、

渡そうとしたんだがなぁ。

……まぁ、人生色々だ!』


照れくさそうに僕に、箱の包みを

渡してきた。

箱を開けてみると……。



高級万年筆が絹の布地に、1本

包まれていた。


わぁ!と……僕は驚いた。

『ありがとう!父さん!!』



その日は、急に父親が地方に

出向く用事が出来たので、

すき焼きを食べた後……

夜の10時頃に、出ていった。



『お父さん!働き過ぎだよ!

休んでよ!』


『まぁな。お父さんは頑張るさ。

行ってきます!

お母さん、ゆうと!じゃあな!』


父親は、最終電車に乗り、

1週間だけだから……と。

北海道へと、行ってしまった。



すき焼きを思う存分に食べて、

部屋に戻ろうと……した時に

不思議と、

街中の雑踏が懐かしく思い出されて……

(また、戻りたいな。)


と……思えてきた。


部屋へ戻り、ベッドに身を任せると……。

『吉川先生みたいな事を

してみたいな?出来るかな?』


と、僕は何かに突き動かされる

様に……



明け方まで、パソコンで

調べものをしていた。


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