第8話~後編~治療法

先生が海外へ旅立ったと知って

から……

僕は、両親の住んでいる静岡県

へと、荷物をまとめて

引っ越して来た。


両親に先生から届いたハガキを

見せては、毎日……気ままに

過ごしたり散歩などを

よくしていた。

『ゆうと!ご飯までには帰って

来るのよ?』

『うん!分かってる!』



僕は、両親が驚くほどに……

躁鬱病が良くなっていた。


空を見上げて、草むらに

寝そべっていると……

小学生達が騒いでいたので目を向けると、


ある一人の男の子が、数人は

いるであろう、その数人分の

ランドセルやらカバンの荷物運びを無理矢理やらされていた。


僕はしばらく、その光景を

見ていた。


一人の小学生の男の子は……

嫌がらせに耐えて、

顔を真っ赤にしていた。



『ほーら。次の電信柱まで、

荷物運びだぞ~~。』


僕はとっさに思った。

(イジメだ!!!)

そう、気が付いた時には

僕は止めに入っていた。


『こら!ダメじゃないか!!』

と、叱ると……男の子達は、

『こいつ~越してきたニート

じゃんか?ばーか!』


さすがに僕は腹が立ち……


『何だと……?!おまえ達!!

やっていけない事も

分からないのか?それに僕は

ニートじゃない!!!』


一番威張っている男の子の胸ぐらを……気が付いたら掴んでいた。


『あ!暴力……良いのかな?』


『コイツ!!おまえが悪いんだろ?!』

と、僕は知らず知らずに声を

荒げていた。


騒ぎが大きくなり、騒ぎ声に

気が付いた大人達がやって来た。



『キミ!子供相手に何だっ!?

恥ずかしくないのか?!』


『コイツら、イジメしてるんすよ!?ダメな事はダメだって

教えなきゃ!?』


そこで、すかさずそのスーツを

着た男性は……僕を止めるなり

首を横に振った。



僕は、小学生の胸ぐらを

掴んでいた手を離した。

悔しかった。大人が大人を止めるなんて……。



また小学生にバカにされるんだ。

と、僕はその場を去ろうとした。


と、その時に……

スーツ姿の男性とイジメを

受けていた男の子が、

僕に、お礼を言いに来た。



『実はね?僕は息子がイジメに

合っている事は、知っていたんだ。だけど……息子にも

乗り越えて欲しくてね?


ほら、貴司、お兄さんに

お礼を言いなさい。』


『お兄ちゃん!ありがとうございます!!』

元気で、健気な男の子の貴司くんは僕に……頭を下げた。



スーツ姿の父親と息子の貴司くんは、二人仲良く、その場を

後にした。



『お父さーん。今日もお仕事

頑張ったね?』

『あはは。そうだなぁ。

お母さんにケーキでも買っていくか?』


『お店まで、競走だっ!!』

『行くぞー!よーい……ドン!』

と、ケーキ屋まで走っていった。



気が付くと……イジメっ子達は

……

『ちぇっ、アイツんち母ちゃんが

病気なのによ~。

ケーキだってさ。バカバカしいな!!』



と……グチグチと言いながら

帰っていった。

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