第6話湯豆腐……

次の日の昼過ぎ……。

銀行へ向かい残高を確認すると

六万円入っていた。


嬉しくなり、先ずは床屋へ向かった。

床屋のおじさんは、ムッツリと

していたが、腕はピカイチだった。


次にショッピングモールへ向かい……洋服を選び始めた。

『病院と自宅と、スーパーだけ

だから……。』

と、安いスウェットを3着買った。

色は自分の好きな黒や赤にした。



久しぶりに人間らしい生活が

出来て、幸せだった。

お巡りさんにも、お辞儀をして

千円を交番に返しに行った。


『お?良いね~良かったな?

何かあったら、いつでもおいで。』


お巡りさんは、僕に何故か優しかった。


会社を退職して……生活費を

稼がなくても生活ができる。

そんな制度があるなんて、


僕は、いつの間にか

空を見上げていた……。



次の病院の日は……?と

袋をガサガサしてみると、


《あ!明日だ!

吉川先生に会える。》

少しだけ顔がほころんだ。



自宅に着くと……どうしても

食べたかった湯豆腐を、出汁から

取り、丁寧に作り上げた。



その晩は、湯豆腐を堪能した。

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