第17話 雅近とロングホームルーム

「はあ はあ、おい、なんで置いてったんだよ」


鷺町 椎名こと委員長との会話を終えて久しぶりの自分の椅子を堪能していると走って学校に来たのであろう雅近がそう俺に問う。

いやぁほんとなんとなくあの時一緒にいたらダメな気がしただけなんだよな。


「なんだっやっぱり月宮さんのことを見られたから黙って逃げたのか?!」


どうなんだっ!っと騒がしく俺の目の前で喚き散らす雅近の姿は実に面白い。

いや、別にバカにしてないよ?


「ちげぇよ。お前って話し出すと長いだろ?コンビニで長話するのもあれだからって思ってな」


「そうか、そういうことなら仕方ないな……………ってなるはずないだろ!」


「ちっ」


「ちっってなんだよ!」


嘘は言ってないが、ホントのことも9割言ってない。

正直、花憐と付き合ってるのが俺でいいのかって言うことをよく考える。

陰キャだし、俺に自慢できる事は無い。


そんな俺が堂々と花憐が彼女ですって言うのはどうなんだろうって思うから。


「まぁいいや。月宮さんのことは黙っとくいつか聞かせろよ?あ、あと貸し1な」


「おう、ありがとよ」


ていうか貸しとか明日には忘れてるだろお前。



                  ◇



始業式は思ったよりすんなり終わって今は帰る前のロングホームルームだ。

何してるかって?

これだよこれ。


「さぁ2ヶ月後は文化祭だぁぁぁああ!」


委員長が元気いっぱいにそう言った。

そう今日のロングホームルームの内容は2ヶ月後の文化祭について………らしい。

中学の頃はまぁ文化祭っぽいのはあったけどあの頃から陰キャだったからすぐ帰ってたんだよなぁ。

今年は花憐がいるし楽しめるかな。


「ということで出し物と文化祭委員決めをしますっ!」「「おおおおおおおお!」」


周りの奴らも委員長の言葉に乗るかのような感じで声を上げる。

委員長すげえぇ。


「さあ係したい人っ!!」


その問いに雅近と委員長が手を上げた。

雅近は良いけど、委員長もしたいんかい。


そのままロングホームルームは流れるように進み、文化祭委員は雅近と委員長、出し物は喫茶店になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る