第25話 どこ!?

 あれやこれやとしていくうちに僕は裁判所にいた。

芭蕉もこういう気持ちだったのかなあと、しみじみと思う。


 駅前や ズボンとパンツ 夢の跡 


 とかかな。芭蕉の子孫さん、すみませんね。


 時間が経つのは早い。なにか、僕の周りに変わらないものはあるのだろうかと考えながら被告席に着く。文系の真骨頂を見せておこうか。


 世の中に 絶えて桜のなかりせば 春の心も のどけからまし


と。まあ、許せないことといえばこれを平安1のプレーボーイが詠んでいることくらいかな。よく覚えてないけど、上皇と結婚を約束した娘と駆け落ちしたとかだったかな。ガチ勢の人ごめん。まあ、まとめると、なくなるからこそ美しいんだよ。僕のズボン、パンツがなくなるからこそ美しいんだよ...ぐすっ。


 まあ裁判は慣れているので(小並感、二回目。)聞き流していても大丈夫。

これ言うの何回目か覚えてないけど、裁判の前って本人確認するじゃん?

それで住所とか言わせるじゃん? 被告が若い女の子とすると...

もう分かるよねって、話。いけないいけない。余罪を重ねてしまう。


 まあ、僕は最低限の倫理があって、法律は守るからね!

(心の中の彩月)「か・が・み・み・ろ じゃあなんでそこにいるの?」


 どうやら判決が言い渡されるようだ。長かったと、素直に言いたいところだが僕はせっかく妄想を膨らまされていたのにそれを中断されて、若干おこだ。


名字は覚えていない。最初の方の文言も覚えていない。


「......

 館山カズキ被告を、精神異常者更生支援施設、通称Rehabilitation support facility for the mentally ill(いや、それは通称じゃないだろと言いそうになったのを我慢して)RFMに一年間収容するものとする。」


 法廷内はどよめきだした。ていうかそもそもこんな休日にこんな裁判見てなにが楽しいんだか。あれ? もしかして高校生いる!?


 あー、恥ずかしや恥ずかしや。そういえば住所聞いてたでしょ? 

 

 ......僕の家に来てくれてもいいんだよ?


 

 こそこそ話から推測するに、その施設はどうやら今年できたものらしい。詳しいことは後で教えてもらお。まあとかく、刑務所みたいなやばいところに打ち込まれないで済みそうでよかった。(よかったのか?)

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