第24話 幼馴染み...?
「プルルルルルル」
それがなにか、わからないわけではなかったがわからずにいようとした。
まあ、こういう状況では出るという選択肢しかないのだけれど。
画面には、彼の名前が出ているわけではない。
懐かしいあだ名__
「よお! 元気?」
「電話の最初にもしもしから始めない人間は君くらいだよ。きっと。」
しらんけど。なんなら、僕も「はい?」としか取らない気もするけれど。
「うわっ、でた。謎のこだわり。そういや俺が入ってるLINEグルでお前がいよいよ刑務所行きだって流れてきたから心配してやってんだよ。笑」
いやいや、誰が広めてんだよ。笑 誰にも行ってないし、言うような人もいないし。
「そういやなんで刑務所行きなん?」
「駅前でちょっとズボンとパンツを脱いでしまって...」とは言えずに、(いくら露出狂予備軍の僕だとしても。)
「ええと、少し事故っちゃって...」
はい、完璧な言い訳です。そういや、ちょっと事故ったくらいで刑務所行きかどうかはわかんないな。(どうした。法学部生。)
「事故ったのか! わはは。酒とか飲んでたんじゃないの?」
「そんな笑いごとじゃないって。それに僕たち同級生でしょ?」
話し方とかから分かる通り、僕たちは違う。性格とか、運動神経とか、学力とか...
なんでこんなに仲良い(自分では)かどうかわよくわからん。まあいいか。
「お前、気をつけろよ。刑務所ってやばいんだろ?」
「いや、初めてだからしらんけど。まあ、大人しくしとくよ。いつもどおり。」
「じゃあ、またな。連絡しろよ。」
いい人だ。そう思って電話を切られた。特に意味のある会話をしたわけじゃないし、相手も目的があったわけじゃないだろうが、心は穏やかになった。いや、いつもどおりか。僕の心が踊る場合とかはあんまないし。
数時間経って、引っ越しの準備も終わった。彩月ありがとね〜!!
じゃあ、父の用意したトラックで父が用意した部屋に行くとするか。(グスッ)
そもそも裁判まで1か月くらいしかないのに、わざわざ家から出ていく必要はあるの? そんな家から出ていって欲しいの?
......
はあ、広い家だな。なんでもできそうだ。暇じゃなくなりそうでよかった。
はあ、誰か来てくれないかなー。
僕は、別に自分のことを不器用な人間だとは思ってはいない。
勉強でも、運動でも、そんなにできるわけじゃないけれど、なにもできないということはない。器用貧乏は僕的には褒め言葉なんだよな...
「人間は料理をする。」
「私は人間である。」(?)
「私は料理ができる。」
はい、演繹法によって僕が料理ができることが証明されました!
というわけで適当になんか作っていきましょう。
まずは小麦粉を大さじ一杯。(言ってみただけ、明らかに少ない。)
︙
︙
よし、うまい!
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