第17話 保釈

ごほん、と。


咳をしても一人。(それは尾崎放哉)


拘置所に一人。



あの取り調べから二日後。一日一回取り調べがあるから、今日、3回目の取り調べが終わったことになる。父につけてもらった弁護士の助言を受けて、なんとかあのヤリチン検事と対峙できている。次にお父さんに会ったらどうしようか。精神科の受診票見せたらなんとかなるかな。そろそろ破門を突きつけられそうで怖い。


「館山さん、出てください。」


こんな僕にも敬語を使ってくれる。惚れてしまいそうだ。

でも、推定無罪の原則があるから...


4回目のあの部屋だ。座っているのはもちろんあの、

「Hey! 志穂ちゃん 被告人召喚しちゃってー」


なんかキャラ変わってない?笑

僕はある意味モンスターだけど妖怪じゃないっての。


「お前は起訴することが決まった。覚悟しておけ。弁護士に手続きをしてもらったら、数日以内には保釈される。保釈金を払わなければいかんけど。たぶん君なら200万くらいだろう。」


こんなにこの検事がラスボスのように見えるのはなぜだろう。


言われたとおり、弁護士に手続きをしてもらって、平身低頭で。

明日の10時には家から迎えが来てくれるそうだ。

彩月、免許取ってないかなー。



夜は眠れない。眠れないのは夜ではない。

ベッドは硬い。これじゃなんもできない。


父が来たら死。母が来たら半死。妹が来たらキュン死。



来たのは純白のフォレスター。父だ。

運転手じゃなく、父が運転している。

これは助手席に座らないとまずそうだ。


ドアは自分で開ける。

心地いい革のシート。


「......」

「......」


心地よくない沈黙が貫く。

なにも話さないままもうすぐ家についてしまう。

僕から話したほうがいいのか? 父はなにを待っているのか?


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