第13話 取り調べ 続
「このままじゃ懲役刑は免れないだろう。」
空気は緩んでいる。それが僕にとっての救いだった。
どうやら雨が降ってきたらしい。急ぐ様子で窓を閉める。
観葉植物らしきものがあるのだから、濡れ濡れにしてあげればいいのに。
芽ぐみの雨、とはなるのか。
この部屋は若干暑い。警官の制服も暑そうだ。
若干、袖をまくって美しい二の腕が露出している。
胸はエベレストだが、腕は水戸の納豆かな。
脇から、服の中が...
とは思ったが見えそうにもない。
ズボン脱いだだけで、バカなって思いたいところだけれど、この国はそういう事情だから仕方ない。あとはどうやって早く刑務所から出て、いち早く卒業、ごほごほ...
まともに生きていけるかを考えないといけない。
「どうしたらいいっすかね。」
「酌量減軽っていうのはあるが、まあ、君の場合だとないだろうな。」
「ほぇえ。」
自分のやったことがフラッシュバック。
反省と後悔はしないと心に決めた。
「何年くらいでしょうか?」
「執行猶予中だった懲役1年と、今回を合わせて大体1年半と言ったところか。」
長いな、ボッチを極めていた中学校の半分か。あれの再来だと考えると気が重い。
「いいかげん改めたらどうだ? それと今回の犯行動機を聞こうか。」
なんかついでみたいに大事なこと聞かれたんだけど、ちゃんと仕事して。
僕との雑談に興じているだけでもいいけど。どこぞの警察署みたいに逃げさせてくれないだろうか。
改めたらどうか、のほうについては考えておくとだけ答えた。
若干真剣な空気を作ってから、
「ええと、犯行動機についてなんですが......
1 気持ちよくなりたかったから!
2 自分の長所を伸ばしたかったから(物理)
3 あとでホテルで見せるときに恥ずかしくならないように予行演習!」
「ばーか、私以外にそんなもの見せてどうするのよ。」
と言われたかったが、とんできたのは単純な罵声だった。顔も真顔過ぎて怖くなる。
忘れていたが、ここにいるのは警察官と被疑者だ。
このままじゃあと4つくらいは言えたのに。
「こんなに悪い僕を直してくれませんか?
ど・ん・な手を使っても」
「まずはその卑劣な視線からどうかしてもらおうか。」
「ひぇー、怖い」
そろそろ真面目に始めようか。
僕のプリズン脱出大作戦を。
(※刑務所はプリズンではない。)
8 後ろにいる檜原に自慢したかった。
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