第12話 取り調べ

ギギギ...ある


ギギギ...と重い音を立てながら扉が開く。

使っていないのか?


本丸登場! 城攻め被疑者。


僕を怖がらせるためのなにかの陰謀か?


本当にこんなところでやっていたのか...

そんな場合じゃないと知りつつも、感慨深くなる。


まるでドラマの世界だ。

もちろん僕は主人公。

ハーレム系がいいけど、刺されたくはない。


「入れ。」


檜原が担当でよかった。念のためにもう一回言っておくが、他意はない。


ここは、マジックミラー号。カメラもバッチリだ。

もちろん防音もしっかりしてる。

うわさのなんとか撮りができるかもしれない。


でもなんか最近は取調室の扉は開けたままらしい。仕切りがあるけれども。

だから声が漏れちゃう。僕以外に聞かせるわけにはいかない。僕は社会的には露出狂なんだけれども、流石に公開プレイをする気はない。


刑事さんに、昔みたいにビシバシやられることはないんだろうけれども、檜原だったらね...


この部屋は、強いていえば、硬いところしかない。もちろんあそこもねっ。

枕くらいは用意しておいてほしいものだ。

こんなんじゃどういう体勢でやったらいいのかわからない。


ぼーっと考えているうちに着席。

ぼーっとじゃないな、もんもんとしてしまった。柄にもない。


すぐに行動に移せないからもどかしい。焦らしプレイは好きだけど目の前にこんなのがいるとね、もう無理だ。最近、K2からエベレストに進歩した。


ああ、糸こんにゃくから、スモークささみになってしまう。


檜原と対面になる。


しばらく顔は向けられないな。


そうだ! 仕方ない!

僕はしばらくアレができてないんだ!!


五ヶ瀬さんとだって、なにかあるんじゃないかと思って3日間くらい禁欲していたのに、なにもできていない! 今日もできていない!!


何日に一回が、一番ちょうどいいんだろ。


童貞丸出しのバカはおいておいて、


この部屋には二人しかいない。

事務の人もいたら3人でできたのに。


手錠は外されているが、縄は僕の座っている椅子に繋がれている。

別に縛るのはいいけど。僕と檜原の永久の赤い糸だとでも思っておこう。


赤い糸は、切りたくなかったの...



足を組み替える。美脚の檜原。


ハスキー気味のため息をつく。色気の檜原。


まず最初に黙秘権の説明を受ける。善良な檜原。


「ああ、知っているよ。」

「なによ、その態度。せっかく説明してやってんのに怒。

もう一生声なんて聞きたくないわ。」


ツンデレの檜原。


「名前と生年月日を教えてください。」 真面目な檜原。


「.........」


「なんとか言いなさいよ!」 取り乱す檜原。

「......」


本人に意図はないだろうが、胸を見せつけるように寄ってくる。

いや、わざとか? まあ、エベレストだからな。


「仕方ないわね。あなたの吐息を私にぶつけて頂戴?」 女王檜原。

おい、これ録音されてんだぞ。


「館山カズキ。2000年、9月24日生まれ。」

「住所は?」

「愛媛県松山市......」


「凸ってあげる♡ うふ」


あんまりやりすぎるとキャラが壊れるぞこいつ。

ていうか、そもそも家知ってるだろうが。


「館山カズキさんは、5月28日の、午後1時頃に松山市駅付近でズボンとパンツを脱ぎ、あなたの、その、あの、えっと...... 男性的部分を世に知らしめたことを認めますかっ?!」

顔を真っ赤にしながらそんなことを言う。

なんだ、本当に未経験なのか。


もしかして、初めて見たのが僕の「僕」なのか?

無性に嬉しい。もう、これは卒業と言っていいだろう。うんうん。


「そのとおりです。」


「誰かからの指示によるものですか?」


「いえ。すべては、自分の天命に従って行ったことです。」

ああ、こいつ頭沸いてるだろうな。でも、もういい。


僕は綾をかばったつもりはない。


脱いで、一瞬気持ちよかったことは確かだし。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る