第8話 パトカーの中で

急ブレーキ。急発進。車体の揺れ。


あんまりこの警察官は運転が上手じゃないな。

燃費も悪かろうに。


彼女は助手席に座っていて、快適だったのに。



適当なことを考えていないで、少しは自分の将来について考えてみようか。

まず、僕は執行猶予中に逮捕された。

執行猶予中だった懲役1年の刑に加えて、今回に課された刑の分だけお勤めをしなければならない。何年になるのか。父さんにはなんて言われるかな。もう、家名には泥を塗りすぎてきたといってもいい。さすがにもう、呆れられるのかな。

一生、楽しく生きていけないのか。

彩月にはもういつもどおりには会えないのか。



果たして、僕はいつになったら卒業ができるのか。



だいたい、公然わいせつで懲役刑なんて普通ありえないのに。

刑法を読め。警察官は法律を知らないのか?


そういえば、数日前にニュースでやってた。

どうやら、この国は治安向上のため、性犯罪についてめっぽう厳しくなったらしい。


ときの、働かない内閣総理大臣。変態に厳しい内閣総理大臣。

「ええと、今回、刑法を改正して公然わいせつの罰則を、いっそう重くすることに決定いたしました。理由は、近年の公然わいせつ罪の事件が増加傾向にあるからです。日本は先進国として、健全な国を目指していかなければなりません。……」


日本なんて、ほとんど変態なんだからそんなんしたら支持率下がるっての。

(あくまで館山さん個人の見解です。)


変態ばっかりなら、なんで少子高齢化は進んでいるのか。

男ばっかりが変態でもどうしようもないからなー。


女性についてきてもらえるように、性教育をしっかりと拡充していかないと!

教師目指しちゃおうかなー。(だめ、絶対。)



ちょっとポジション変えたいな。

しかし、今となっては僕の両手には手錠。

僕の横には檜原さん。


こそこそ

「ちょっと僕のポジション変えてくれない?」

「なっ、急になにを言い出すの!?」

またまた、そそる反応しちゃって。


ていうか、なんで顔赤くしてんの。


「ポジション」でわかるっていうことは、あれか。

学校とかで下ネタに興味ないふりして、実は聞き耳立ててて、家に帰ったらいろいろ調べちゃうタイプの子か。いやー、かわいいな。最高。

僕がいろいろ教えてあげたくなるなー。


僕は中学のときとかも、女子にけっこう言ってくスタイルだったんだよね。


「ちょっと、どうにも気持ち悪くなっちゃって…」

「だったら仕方ないわね。とはならないからね、このド変態!」


「うるさいぞ檜原。」

「申し訳ありません。私がこの男の局部に触れることを許可してくださいますか?」

「………

お前も公然わいせつ罪か?」

「いえ、冗談です。(ニコー)」


いやいや、絶対今のは冗談じゃ済まされないでしょ。

なんなの、よくあることなの?

僕が初めてじゃないの?


もやもやもやもや

もやもやもやもや


まあまあ、結局触って見たかったのか、さすがヴァージン。

まあ、僕もさくらんぼだからなんとも言えないけど。

五ヶ瀬さんと卒業するつもりだったのに。

本当に、責任取ってほしい。


相性いいと思うんだけど、確かめようがね…。


「もうすぐ着く。心の準備をしておけ。」


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